英国がEU離脱へ向けて動き出し、世界各国市場で飛び火が回っている状態です。
ただし、先月の6.23英国民投票(日本時間では6.24)ではドル円相場が99円台に突入しましたが、日本では追加緩和期待先行で現時点では104円台前後の値動きとなっています。
しかし、市場関係者たちの発言をまとめると「円高への動きを止めることはできない」とのこと。
円安期待があるのは確かですが、いずれドル円相場は100円を割っていくとの声が強いわけです。だからこそ、円高に向けてマークしておきたい銘柄を頭に入れておきたいですよね。
今回、円高相場に向けて買ってはいけない銘柄と仕込んでおきたい銘柄をピックアップしてみました。今後の参考にしてください。
目次
円高に向けてマークしておきたい銘柄
円高が大敵の銘柄として真っ先に挙げられるのは、輸出企業。とりわけ自動車産業は日本景気の基盤となっている企業です。
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円高で買ってはいけない自動車銘柄
輸出企業だけに円高になれば減益要因となるのは当然で、日本屈指の大企業トヨタは1円円高になると年間4,000億円の減益になると言われています。
トヨタの今期の想定為替レートは1ドル=105円。執筆時点ではわずかに下回っているだけに過ぎませんが、今後円高が進行するとなると1円円高になる度に-4,000億円が上積みされていくわけです。
トヨタだけでなく、日産、ホンダ、マツダ、すべての自動車企業に同じことが言えるでしょう。今後円高が進行するなら比例して自動車株の株価は下がっていくはず。円高進行なら自動車株に手を出してはいけません。
円高なら爆買いは完全に終結
アベノミクスと日本景気を後押ししてくれたインバウンド消費。中国人をはじめとした訪日旅行者が爆買いをしてくれたおかげで、インバウンド銘柄は “ウハウハ” だったことでしょう。
しかし、円高となればそれも完全に終結に向かいます。ご存知の通り、円安だからこそ外国人が日本に来やすかったわけです。旅費だけでなく日本国内で販売される商品が2~3割安だったため、いわば円安が爆買いを後押ししたのです。
その円高効果がなくなれば、当然外国人は日本での爆買いに見切りをつけるでしょう。円高になれば日本人が海外に行くのが安くなるため、今度は日本人が国外で爆買いをする番に(笑)
インバウンド銘柄と言ってもピンキリで、訪日外国人の恩恵を受けていた企業は多数あります。その中でも代表的なのは、三越伊勢丹HD、ビックカメラ、J.フロント リテイリングといったところでしょうか。
実際のところインバウンド消費の現況はどうなのか、覆面でインバウンド銘柄 “百貨店内のレストラン” を取材してきました。
純和風のとんかつレストランに入ると、よく喋るウェイトレスさんが対応してくれました。その方に質問を。
そうするとウェイトレスさんは、
「よくいらっしゃいます。ここだけの話なのですが…」
少しトーンを落としてこっそりと続けます。
「ちょっと前までは外国人の方が好きなだけ(お金を)使ってお召し上がりになっていったのですが、今はかなり減ってしまいまして。」
彼女の言葉を意訳すると、「今はインバウンド消費が期待できなくなった」ということかと。
そのレストランには限定ランチ定食があり1,000円ほどで食べられますが、その他の各種定食は2,000円~3,000円となかなかの高価格。サラリーマンたちがランチで気軽に来る場所というよりもワンランク上のランチスポットです。
一般庶民にとってこの値段は安くありません。デフレマインドが浸透する日本でこの値段でも売れてきたというなら、それはまさに訪日外国人のおかげ様でしょう。
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やはりインバウンド消費に陰りが見えてきたのは確かのようです。今後円高が進行するなら爆買いには全く期待できず、インバウンド銘柄は早いうちに売り仕舞いしたほうが良いかもしれません。
円高に向けて仕込んでおきたい銘柄
今後、ドル円レートが円安に盛り返す可能性もありますが、円高に沈むというなら円高銘柄を仕込んでおくのが得策です。
というのも、円高時の基本は輸入物が安くなるという点ですから、会社経営が高い比率で輸入に依存している銘柄に目を向けるのがセオリーになります。
たとえば、エネルギー企業。海外からエネルギー資源を仕入れる東京電力や東京ガスといった銘柄はかなり期待できると思います。
また、水産物を輸入に頼っていることから、「くらコーポレーション」や「カッパ・クリエイト」なども今後の株価に期待できそうです。円高になればデフレ継続の意味合いがあり、先日の記事「今のうちに仕込んでおきたいデフレ銘柄3つ」でも紹介した「カッパ・クリエイト」はかなりの狙い目かと。
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円高に向けてマークしておきたい株 まとめ
円高になるケースを仮定して今回の記事となりましたが、円高進行となるなら買ってはいけないのは輸出関連銘柄でした。特に、
といった自動車産業は危険です。また、インバウンド関連銘柄も要注意で。
などなど。逆に、輸入物が安くなるのが円高ですから、輸入商品を扱うまたは輸入ものを国内で売る営業スタイルの銘柄をピックアップしましょう。
・食品関連(くらコーポレーションやカッパ・クリエイトなど)
以上を参考に、円高が進行した場合は確固たるアクションで株投資を。(執筆者:堀 聖人)