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子供が生まれてから助かる制度を年齢別に
子供が生まれると周囲からは「おめでとう!」と言われ、出産祝いが送られてきます。市区町村役場へ行くときに出生届の他に児童手当、子供医療費、奨学金…。子育て世帯に対する制度や給付金はたくさんありますね。
何年かもらい続けるともらうのが当たり前の感覚になりますが、いつの間にか貰えなくなっていた…というとき慌てないように。子供がいくつのときにいくらくらいもらえるのか、いつ終わるのか、子供の成長に合わせて制度を整理しておきましょう。
0歳から2歳
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1. 児童手当
・児童手当は出産後手続きしてから支給されます。手続きが遅れると児童手当の支給も遅れるので出生届と同時に申請を。
・3歳未満は1人月額1万5,000円です。
・所得制限があり、前年度に高所得だと月5,000円です。
2. 乳幼児医療費助成制度
・国の健康保険や国民健康保険では、子供の医療費は就学前が2割負担、小1以上は3割負担ですが、全国1,741市区町村(平成27年4月時点)で、乳幼児医療費を助成しているため、一定の年齢まで自己負担無しまたは数百円などの軽負担となっています。
・子供が生まれてから、出生届、児童手当申請と同時に乳幼児医療費も手続きしましょう。乳幼児医療証を、自己負担分の支払いが免除(または軽減)されるところが多く、保護者の所得制限の有無、一部負担金の有無も自治体によって異なります。
3. 健康保険から出産育児一時金または家族出産育児一時金
・健康保険に加入している本人が出産したなら出産育児一時金42万円に加えて、健康保険より産前6週間産後8週間の出産手当金が支給されます。
・被扶養者(妻、娘など)が出産した場合は家族出産育児一時金42万円が支給されます。
4. 出産手当、出産祝い金がある自治体もあります。
出産後の手続き時またはお住いの地域のHPなどで確認してみましょう。いくつかの自治体を挙げます。
・東京都日の出町は出産1回につき3万円祝い金。
・茨城常陸大宮市は3子から5万円、栃木県大田原市は3子から10万円祝い金。
・兵庫県相生市は、出産1回につき5万円祝い金。
・北海道池田町1、2子まで15万円、3子20万円、4子以降40万円の祝い金、松前町第1子で20万円、2子30万円、3子以降50万円祝い金。
5. 雇用保険から育児休業給付金
・育児休業給付金は、一定期間雇用保険に入っている会社員(男女を問わず)が1歳未満の子供を育てるのに休業するときに産後休業(出産後3週間)後から原則子供が1歳まで雇用保険から支給されます。
・子供が認可保育園に入れないなど条件を満たすと最長1歳6か月まで支給されます。
6. 一人親なら児童扶養手当
・離別、非婚などで一人親が子供を養育するときに子供の人数や養育者の所得に応じて児童扶養手当が支給されます。
7. 赤ちゃんが慢性的に重病なら小児慢性特定疾患医療費助成制度
・長期的に高額な医療費がかかるような特定の重病の場合、医療費を一部助成してもらえます。
(参考 小児慢性特定疾患情報センターHP)
8. 赤ちゃんが未熟児なら未熟児養育医療制度
・2,000g未満で生まれた赤ちゃんが指定医療機関に入院した場合に1歳まで医療費が補助されます。
9. 地域認証(認定)保育園保育料補助金がある自治体も
・地域で独自の基準を満たした(東京都は認証、神奈川は認定)保育園に入園した場合、保育料の補助が出る地域があります。0歳から2歳児だと1人月額5,000円から2万円ほどです。
10. 子持ち世帯に家賃補助、住宅支援金を支給する自治体もあり
・いくつか挙げると東京都千代田区、板橋区、大田区、北区、新宿区、世田谷区、豊島区、奥多摩町、北海道札幌市、函館市、神奈川県川崎市、横浜市、長野県茅野市、小海町、島根県松江市、沖縄県沖縄市…など子育て世帯の家賃補助や住宅支援金を支給する自治体は結構多いのです。
3歳から小学校就学前
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1. 児童手当の金額は3歳で月額が変わります。
・3歳以上小学校修了前は第1子・第2子は月額1万円、 第3子以降は月額1万5,000円です。
2. 乳幼児医療費(平成27年4月時点)
・例えば沖縄県那覇市、うるま市、石垣市などは通院補助が3歳までで一部負担金ありの自治体で、全国で10(全国1741自治体)あります。
・通院補助が就学前までの自治体は全国に259で、入院補助は63です。
いくつか挙げると通院・入院ともに就学前の自治体は、鹿児島県与論町、宮崎県宮崎市、長崎県長崎市、福岡県新村町、山口県下関市、広島県広島市、島根県出雲市、青森県黒石市、岩手県滝沢市などです。
3. 雇用保険から一時保育助成金が予定されています
・平成29年1月から、失業手当をもらえる子育て中の失業者が面接するときに保育園や認定幼稚園などに子供を一時預かりした際の費用を雇用保険で8割助成する予定です。
4. 私立幼稚園就園補助金
・3歳から5歳の子供(平成28年4月1日時点で)が私立幼稚園に通園している保護者に補助金が出る自治体も多いです。
・幼稚園給食費無料の自治体もあります。いくつか挙げると兵庫県相生市、静岡県西伊豆町、愛知県西尾市などです。
5. 地域認証(認定)保育園保育料補助金
・0歳から2歳も支給されますが、3歳から補助金額が月額5,000円ほどに変更される自治体もあります。
※ 4、5はどちらかの支給になります。
小学校入学から卒業まで
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1. 乳幼児医療費(平成27年4月時点)
乳幼児医療費助成は小3、小6で終了する(特に通院)自治体も多いです。
・通院補助が小3までの自治体は全国で47、入院補助は15です。
通院入院ともに小3まで補助の自治体をいくつか挙げると、岩手県北上市、広島県江田島市、山口県山口市、下松市、福岡県直方市、みやま市、熊本県熊本市、鹿児島県指宿市などです。
・通院補助が小6までの自治体は全国で148、入院補助は173です。
通院入院ともに小6 まで補助の自治体をいくつか挙げると、北海道旭川市、帯広市、青森県深浦町、岩手県花巻市、秋田県秋田市、栃木県宇都宮市、山梨県甲府市、京都府京都市、大阪府豊中市、和歌山県須防市、徳島県徳島市、佐賀県唐津市などです。
2. 学校給食費補助の自治体もあります。
・学校給食費無料の自治体…東京都奥多摩町、埼玉県滑川町、小鹿野町、栃木県大田原市、群馬県南牧村、兵庫県相生市など
・学校給食費一部補助の自治体…子供3人目についての給食費を補助するのが、東京都葛飾区、神奈川県大和市、群馬県桐生市、山梨県南アルプス市など
中学入学から中学卒業まで
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1. 児童手当は子供が中学生になると15歳年度末で終了
中学生1人につき月額1万円支給されます。
2. 乳幼児医療費助成が中学で終了する自治体は多いです
近年、乳幼児(子供)医療費を、平成27年4月1日時点で、全国1,741自治体のうち、15歳年度末まで通院補助するのが996、入院補助は1,200あります。
・15歳年度末まで入院・通院の医療費が軽減されるのは、静岡県全域、東京都全域、埼玉県全域、群馬県全域、兵庫県全域、鳥取県全域、その他市区町村によっても異なります。
3. 学校給食費補助の自治体もあり
・中学でも給食費補助する自治体をいくつか挙げると、東京都奥多摩町、神奈川県相模原市、京都府伊根町などです。
4. 高校生等奨学給付金申請
必要に応じて、高校生等奨学給付金申請できます。(参考 文部科学省HP)
高校入学から高校卒業まで
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1. 乳幼児医療費が18歳年度末までの自治体もあり。
・18歳年度末までの医療費補助は、全国で通院が269、入院が286と近年急に増えています。
・いくつか挙げると、福島県全域、東京都千代田区、日の出町 奥多摩町、埼玉県いすみ市、滑川町、栃木県太田原市、日光市、北海道松前町、北斗市、青森県西目屋村、東北町、岩手県普代村、宮城県加美町、群馬県上野村、新潟県湯沢町、石川県かほく市、長野県小海町、川上村、岐阜県大垣市、静岡県西伊豆町、愛知県津島市、三重県大紀町、京都府伊根町、奈良県山添村、和歌山県印南町、鳥取県三朝町、島根県吉賀町、岡山県美咲町、広島県安芸太田町、徳島県佐那河内村、福岡県みやこ町、佐賀県多久町、熊本県和水町、鹿児島県曽於市、沖縄県金武町などです。
2. 一人親に対しての児童扶養手当
一人親に対しての児童扶養手当は18歳年度末までの支給です。
3. 配偶者が死別した人に対しての遺族基礎年金
配偶者が死別した人に対しての遺族基礎年金は子供が18歳年度末までの支給です。
4. 大学・短大・専門学校向けの奨学金申請。
・希望の学部ごとに申請可能な奨学金を調べられます。(日本学生機構奨学金HP参考)
5. 状況により、日本学生支援機構や民間教育ローンで借金。
・日本学生支援機構の平成26年度の調査によると、全国大学生(昼間部)のうち奨学金を受給しているのは51.3%にもなるといいます。
・日本学生支援機構の無利子奨学金には、年収300万円程度の収入を得るまで、返還期限を猶予する「所得連動返還型無利子奨学金制度」が平成24年度から創設され、以前より借り手に手厚くなりました。
・無利子の第1種は、成績要件も、所得要件も有利子の第2種より厳しく、優秀な学生が優遇されます。
6. 地方創生奨学金
・地方創生枠奨学金は、地方に戻って就職し、日本学生支援機構の無利子奨学金(第1種)を一部または全額免除する、今年4月からの制度です。支給対象は、都道府県ごとに毎年度上限100人です。
・地方創生奨学金を申請する具体的な基準は、奨学金申込時までの高校の成績が平均3.5以上、4人世帯給与所得だと、申込前年1年間の家計収入が約741万円以下です。
7. 所得税の扶養控除対象者に入る
所得税の扶養控除対象者に入り、高収入家庭でより節税できます。
高校卒業から22歳まで
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1. 乳幼児医療費が22歳までの自治体もあり。
・北海道南富良野町では22歳年度末(大学生・専門学校生)まで入院・通院の医療費補助は所得制限も一部負担金も無しです。
2. 地方創生奨学金を利用し、その自治体に就職する選択肢が有り。
地方創生奨学金を行っている自治体を挙げてみます。
・八王子市…若者雇用促進・奨学金返済アシスト制度。
市内に住民票があり、市内在住または市内大学などに在学、日本学生支援機構か自治体の奨学金を利用している人が、HP「はちおうじ就職ナビ」で就職または「市内で起業」すると、2年間10万円まで支援を受けられます。
・長野県生坂村…出身中学、所得、成績、すべてクリアしている人が最低6年の定住すると奨学金全額免除。
・宇都宮市「育英修学資金貸付制度」。月額2万円給付、4年で96万円まで支援。卒業後1年以内に宇都宮市に住所があり、なおかつ5年以上継続して居住すれば奨学金が全額免除。定住要件など満たさなければ全額返還。
・栃木市「未来応援奨学金」卒業後1年以内に宇都宮市に住所があり、なおかつ5年以上継続して居住すれば奨学金が全額免除。定住要件など満たさなければ全額返還。
自治体によって、住民に対するサービスは違います。特に乳幼児医療費の補助は、同じ県でも大きく違うこともあります。長期的なライフプランを考えた場合、是非、市区町村のHPなどで子育て世帯に対する策を確認してみましょう。(執筆者:社会保険労務士 拝野 洋子)