以下記事の続きです。
家計簿より優先される、「心臓部の書類」って?~主婦の金バナ(11)
目次
マネ達編集長の素朴な疑問
「住宅ローン金利交渉」 私が成功した理由2つ」の原稿を入稿した際、マネ達編集長から、こんなふうに聞かれた。
「どうして、住宅ローンを完済できたら、銀行担当者に菓子折りを持って御礼に行くんでしょうか? 普通は、ローン完済したら『偉いだろう』みたいな気分になるのでは?」と。
「何でだろう?」と考えてみて、思いついたのは、菅井敏之さんの存在だ。菅井敏之さんは、昨年発売されたベストセラー、「お金が貯まるのはどっち!?」の著者。
この本を読んで、私は「金融機関から信用してもらう」という視点を得た。金融機関と良好な関係を築いておくことは、ひとつの財産になりえる、という考え方だ。
そんな視点で金融機関とのお付き合いを考えてみると、住宅ローンが完済できたら自然と感謝の気持ちが沸き、「菓子折り」という発想に繋がった。
菅井さんの新著、『金の卵を産むニワトリを持ちなさい(菅井敏之/アスコム)』には、銀行がお金を貸したい人になるための心得が書いてあるという。早速、取材に行くことにした。
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元、銀行支店長の菅井敏之さん。
題して、「銀行がお金を『どうしても貸したい人』になる3か条」
掟 その1 「黒字の人になる」
「赤字を垂れ流す人ではなく、『黒字の人』になること、これが基本中の基本です。ただ収入が多いだけではダメ。高収入で浪費ばかりする赤字の人より、中くらいの収入でもお金をためている黒字の人の方が銀行にとっては、信用のある人です」(菅井さん)
菅井さんの銀行員生活25年の経験では、住宅ローンを借りて破綻するリスクが最も大きかったのは、有名大学を卒業して大企業に勤める年収900万円~1,000万円くらいの人達だったそう。
「彼らは高収入でも、ステータスを気にして、価格の高い自宅を買い、車は外国車で、年に1度海外旅行といった生活を送るうちに、破綻してしまいます。一方で、年収400万円~500万円くらいの人達は、もっと、堅実です」(菅井さん)
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掟 その2 「信用情報がクリーンな人」になる
自分の信用情報を、銀行が簡単に閲覧できることはご存じだろうか?
「銀行は、お金を借りたい人の『個人信用情報』を必ず調べます。あなたの名前と生年月日と住所を打ち込み、信用情報センター機関(全国銀行個人信用情報センター、CIC、日本信用情報機構など)に蓄積されているデータと照合するのです」(菅井さん)
私はこの話を聞いて、すごくビックリした。そんなデータが世の中に蓄積されているとは! そして、それが他者に易々と見られてしまう仕組みがあるとは。
「クレジットカードを何枚も使っていると、浪費家と思われる恐れもあります。注意が必要なのは、クレジットカードについているキャッシング枠(いつでも現金を借りることができる20万円~50万円という枠)。
これは一度も利用しなくても借金にカウントされているので、クレジットカードを10枚持っていたために、住宅ローンの借り入れ枠が少なくなってしまったケースもありました。」(菅井さん)
いずれにせよ、銀行から信用してもらうには、「信用情報がクリーンな人」にならなければいけない。
掟 その3 「だから、大丈夫」の「だから」のある人
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「銀行員は、営業実績を残すために、その人にお金を貸して商売をしたいものです。そこで、上司に稟議を通す時、『この人にお金を貸しても大丈夫』という貸せる理由を探したいものなのです。
つまり、銀行から信用をしてもらうには、「だから、大丈夫」の「だから」を作ることが大切です」(菅井さん)
「だから」の一例
・ 退職金を10年後にもらえる
・ 親の代からの知り合い、うちの従妹と同級生
・ 10年前からその銀行に口座を作って、コツコツ積立貯蓄をしていた
「だから」のロジックが効きやすいのは、地域密着型の地元の金融機関だ。
「これからは、個人事業主のような生活を送る人は多くなると僕は思っています。大企業に勤めていたとしても、50歳をすぎたあたりで疲れてきて、でも、残り30年生きていかないとならない。
70歳まで同じ会社で勤められる人なんて、ほぼ、ほぼ、いません。まだ元気なうちに退職して長く続けられる個人事業を始めるという選択肢を選ぶ人も増えてくるでしょう。
そう考えると、「だから」のロジックの働きやすい地元の金融機関とのお付き合いは、少しずつでも早めに始めておいて損はないと思いますよ」(菅井さん)
菅井さんの話に、なるほど! と思った私は、この夏のボーナスキャンペーン中に、地元の金融機関に口座を作った。そう地元の金融機関とのお付き合いを始めたところなのだ。(執筆者:楢戸 ひかる)