28年10月からパート労働者の社会保険加入が決まっています。ただし、社会保険に入れるのはパート約1,900万人(平成27年労働力調査より)中、25万人(厚生労働省資料による)という少数派。まだまだ社会保険は夫の扶養というパート主婦が多いと思われます。
夫の扶養になるというのは、将来の年金、特に老後の年金や遺族年金は夫の給料次第ということ。家計として将来的に大丈夫かシミュレーションも必要かも知れません。
目次
ライフスタイル別に働き方を考えよう!
夫の働き方や子供の有無や年齢など家庭の事情によっても違ってくるであろう、主婦の仕事の選び方、ライフスタイル別に考えてみましょう。
ご自分に当てはまると思った項目を参考になさってください。
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ライフスタイル別 8つの項目
1. 子供はいない、DINKS(共働きで子供を意識的に作らない、持たない夫婦)
2. 働きやすい職場にいる、夫、実家や義実家の理解と協力が十分得られる。
3. 夫の収入がいまいち? 生活できるか心配な場合。
4. 夫の収入は生活するのに十分、でもより経済的ゆとりが欲しい。
5. 子供が小さい、時間にゆとりがない。
6. 子供が大きくなった、時間にゆとりができた。
7. 就職しやすい資格を持っている・興味がある。
8. 独立できる資格と経験を持っている・興味がある。
1. 子供はいない、DINKS(共働きで子供を意識的に作らない、持たない夫婦)
働き方のおすすめは、やはり正社員。と言っても現在退職している人の中には「なかなか希望のところはないわよ」という人もいらっしゃるでしょうか。職種の希望もあるでしょうが、今の勤めている方はそのまま続けるのが無難でしょう。
子供ができたとき、長期勤務の方が育児休業も取りやすいし、親の介護の時も介護休業が取りやすいからです。育児休業給付金や介護休業給付金を受けられるにも、直近2年の雇用保険の条件が問われます。
就職活動
新しく職場を探したい方は、「厚生労働省の有効求人倍率」(pdf)なども参考にするといいでしょう。
外勤や販売、運輸通信事務、家庭生活支援、介護サービス、給仕、調理などはハローワークの求人倍率(平成28.1月時点)でも2.5~4倍、保安(ガードウーマン、交通整備員、プール監視員など含む)が5倍超です。「すぐに勤める」を優先する方は参考になさってくださいね。
ほんとに参考意見なのですが、不妊治療している方の場合も筆者の個人的意見としては不妊治療に振り回されすぎない方が、ストレスもたまらずいいのではないでしょうか? 自分がどのくらいの通院なら苦に感じないか、好きな仕事をしている場合は仕事に差しさわりがない通院で済む相性のいい病院を探すという手もありますね。
2. 働きやすい職場にいる、夫、実家や義実家の理解と協力が十分得られる。
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このケースも正社員がおすすめです。今続けている職場は万一首になるまで続けるつもりでいた方がいいでしょう。子供がいる場合、なにしろ慣れていた方が急な子供の発熱などのときに周囲の理解を得られ安いのではないでしょうか。
子供ができたら育児休業も取り、育児休業給付金や出産手当金も受け取り、親がらみで必要な時は介護休業も取りましょう。派遣や期間労働者の方も要件を満たせば育児休業や介護休業を取ることができます。
社会保険に入れるパートさんの条件
(1) 被保険者数が501人以上の会社に勤めていること。
(2) 週20時間以上働いていること。
(3) 月収(交通費、賞与など除く)が8万8000円以上であること。
など、条件のハードルがやや高めです。社会保険に入れるのはほんの1部のパートさんです。
28年10月からパートの社会保険加入についてより厳しくなります(社会保険適用事業所に対して)ので、現在パートで勤めている方も社会保険に入れる週30時間以上働くのがおすすめです。
3. 夫の収入がいまいち? 生活できるか心配な場合。
今正社員ならやはり正社員のままで勤め続けるのがお勧めです。派遣や期間労働の場合もなるべく同じ職場、同じ派遣会社に居続けた方が、育児・介護休業を取り、給付金を受け取る際も有利です。
夫の収入にもよりますが、夫や子供を妻の社会保険の扶養に入れるのも良いでしょう。国民年金2人分と国保家族分の保険料は高いです。妻が職場を辞めることになっても、2年間任意継続ができるので次の職場が見つかるまで、妻が社会保険を続けましょう。
仕事の掛け持ち
正社員やフルタイムがなかなか見つからずパートの場合、仕事の掛け持ちも考えるかも知れませんね。夫が会社員・公務員の方は妻年収130万円の壁に気を付けましょう。社会保険で夫の扶養から抜けることとなるので、年収150万円~160万円(特に居住地の国保保険料により異なる)まで稼がなければ、家計の収支が悪くなります。
マイナンバーが普及すると役所での収入の把握がこれまでより厳しくなることが予想されるので、職場を掛け持ちするときはきちんと給与明細の合計を計算しましょう。新しく仕事を探す方は「厚生労働省の有効求人倍率」(pdf)も参考になさってくださいね。
4. 夫の収入は生活するのに十分、でもより経済的ゆとりが欲しい。
夫が会社員・公務員で妻がパートに出るような場合は、夫の会社の家族手当の収入基準を確認しましょう。今は大手の会社でも家族手当、特に配偶者手当は無くなる方向ですが、また残っている会社も多いのです。妻の稼ぎの見込みと、夫の会社の配偶者手当を比較してみる必要もありそうです。
厚生年金・健保に従業員が501人以上入っているような大きい会社にパートに入り、週20時間以上働けば妻が社会保険に入れる確率も高まります。
就職とは違いますが、興味があり、資産が減るかもしれないリスクを受け入れられれば「投資」に挑戦してみるのもいいでしょう。NISAなら5年間売買益が非課税だし、ふるさと納税はなら住民税が還付されます。平成29年1月には専業主婦も確定拠出年金で老後の資金を運用できるようになります。
5. 子供が小さい、時間にゆとりがない。
「子供が小さい、でも働きたい。」という場合は、まずマザーズハローワーク(pdf)へ行きましょう。これから新しく仕事を見つける場合、パートの方が無難に感じますが、経済的事情などで正社員として働く必要がある人もいるでしょう。
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首都圏などの場合、最初は無認可保育所へ預けざるを得ないこともあるので、妻が働いた収入が丸々保育料に消えるかも知れないことも考慮し、仕事を探しましょう。
パートなどの場合なるべく、求人倍率が高いか時給の高い仕事から探すこともできます。「厚生労働省の有効求人倍率」(pdf)を参考にしてください。
時給が高い仕事はどんな職種があるでしょう。
例えば、an Report(全国平均)に・よれば薬剤師や看護師の時給の高さは言わずもがな…ですが、
・介護・福祉・保育が時給1,054円(全国平均)とその他医療の時給972円(全国平均)を上回っています。
・販売系だと携帯・家電ショップが時給1,099円(全国平均)
・配送・物流関係が時給1,052円(全国平均)
・仕分け・梱包・商品管理が時給965円
・イベント設営・運輸1,014円
です。お仕事探しのご参考になさって下さいね。
最低賃金は、地域ごとに大きく異なりますが、10月以降多くの地域で底上げされます。ちなみに今年10月からの東京都の最低賃金は932円です。(全国は厚生労働省HP参考)
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6. 子供が大きくなった、時間にゆとりができた。
この場合もやる気に応じてですが、正社員で就職をねらってみる手もあります。「厚生労働省の有効求人倍率」(pdf)も参考になさってくださいね。
子育て経験があれば、保育士資格をもってなくてもつける仕事もあります。家事経験に自信があるなら家事支援代行サービスなども時給が高めで時間は短めです。
就職に役立ちそうな資格を取る
またじっくり勉強してみるのもいいでしょう。10年以上勤めていたけれど退職して1年以内という方は、専門教育訓練給付金がもらえるかも知れません。就職に役立ちそうな資格を取ってから就職するのもいいでしょう。
ただし、資格だけで実務経験がなければ採用してもらえないこともあります。
例えば経理・総務事務などは求人倍率も特別高くないので、苦労して税理士を取っても実務経験がなければ雇ってもらえないことも考えられます。興味があるかどうかも大切ですが、自分の実務経験や求人倍率などをかみ合わせながら、勉強するものを決めた方が良さそうです。
7. 就職しやすい資格を持っている・興味がある。
医師・薬剤師・看護師などの医療系資格は、求人倍率が5.22%(池袋職安28年6月)、全国では6.49%(28年1月)にもなり、時給なども高いです。資格を持っている方は、ぜひ活かしてくださいね。
「そんなに簡単に資格とれないでしょ。」と思った方
社会福祉の専門的職業、社会福祉士や介護福祉士などは、学校卒業後でも挑戦できそうですね。保育士も取れば就職にかなり有利です。今退職している方は時間とご興味があれば、勉強を検討してもいいかもしれませんね。退職して原則1年以内なら指定講座で資格取得の勉強をすると、雇用保険から教育訓練給付金がもらえることもあります。
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8. 独立できる資格と経験を持っている・興味がある。
資格と経験を活かして独立するという手もありますが…
独立資金が必要な場合、借金をするのはリスクがありますね。主婦の働き方(特に子供が小さい場合)を考えた場合、1日16時間くらい働ける状況でなければ借金を伴う起業はなるべく避けた方がいいのではないでしょうか?先々までその仕事を続けられなくなる可能性もあるからです。
資格がなくても起業そのものはできます
ただし、最初は個人事業で行うことがおすすめです。資本金1円から会社を設立できるようになったのですが、株式会社など法人で行うと確定申告が煩雑になり、社会保険に入る(会社と個人負担分保険料を両方払う)義務が生じますので、最初はあまりおすすめではありません。
また、お家でお教室を開くような開業の仕方もありますね。大手KやG、など本社がノウハウを公開しているようですね。しっかり身に付けてから独立しましょう。
配偶者控除がなくなる?社会保険に入るパートが増える? 今後、主婦の働き方はどうなる?
多様になっている主婦の働き方ですが、収入の壁など今後どうなるか考えてみましょう。
主婦の年収の壁、特に気にする必要がない人
まず、年収103万円や年収130万円など主婦の年収の壁、特に気にする必要がない人をおさらいしましょう。
夫が厚生年金・共済年金に現在入っていない人(例えば、夫が自営業者、年金受給者、失業者、学生など)は、「103万」、「130万」、「141万」、「160万」も気にする必要はありません。妻が稼いだ方がそのまま家計が潤うのです。
今後配偶者控除がなくなることが政府で検討されています。本当に配偶者控除がなくなると、所得の高い夫ほど所得税が増えますし、「妻年収103万円」の所得税の壁はなくなることでしょう。
妻が「起業」している場合
所得(事業収入から経費や控除を差し引いた額)が38万円以内なら、会社員・公務員の夫の扶養に入ることはできます。また夫が起業の場合でも38万円以内の所得なら妻の扶養に入ることができます。
「年収130万円の壁」には注意しましょう
家計を考えたら会社員・公務員の配偶者が経済的大黒柱であれば、特に社会保険は、自営業の配偶者が扶養に入る形の方が経済的です。その時には社会保険の「年収130万円の壁」には注意しましょう。
自分のライフスタイルに合った働き方を見つけられるように探ってみるのもいいでしょう。(執筆者:社会保険労務士 拝野 洋子)
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