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日露急接近、イライラしつつも動けないアメリカ
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9月2日ウラジオストックで、安倍総理とプーチン露大統領と3時間以上も会談しました。そこで決まったようですが、どうやら、12月に安倍総理の地元である山口にプーチン大統領を招いて、ふたたび首脳会談をするようです。
日露首脳会談は、第一次安倍政権から数えて、実に13回行われています。安倍総理外交で、ダントツで一番会っているのがプーチン大統領です。
ホットラインがあれば電話会談もあり、当然オバマ大統領とは頻繁に会談しているでしょうが、直接会うとなるとプーチン大統領がダントツに多いです。
今年は、歯舞群島と色丹島の2島返還の話が出た日ソ共同宣言の年からちょうど60年目になります。60年前の10月のことで、12月の日露首脳会談はちょうどよいタイミングではと言われています。
アメリカは大統領選挙前で外交的に動けない時
11月はアメリカ大統領選挙です。そこでヒラリー・クリントン民主党候補か、ドナルド・トランプ共和党候補になるかが決まりますが、実際に政権が発足するのは来年の2月です。それまでは、オバマ大統領も、次期大統領も、外交的には何も動けない状況です。
実際はアメリカは対ロシア経済封鎖を中心に行っている関係で、日本のロシアへの接近に関しては、好ましくは思っていないのは事実ですが、12月の日露首脳会談においては、立場上強くいえない状況でもあります。
米大統領がトランプ氏になれば、徹底的な保護主義政策を取るでしょう。外交面でも、世界との関係は大きく変わりそうです。
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日本の外交もアメリカ一辺倒ではいかなくなる
足元では、トルコやサウジアラビアなど、あれだけの親米国がアメリカを離れ、ロシアに急接近しています。
フィリピンも二枚舌外交で、表面的にはアメリカと仲良くするふりをしながら、経済面では中国と強く手を握っている状態です。
そんな中での日露急接近は、アメリカとしては平静ではいられない状況かと思われますね。
トランプ氏の現段階での発言内容で判断すれば、日米安保関係も、今までのようには、いかない感じです。
そのトランプ・リスクが、かなり現実味を帯びてきていると思われます。そうなると、日本の外交も、アメリカ一辺倒ではいかなくなってくることでしょう。
北方領土問題が急展開?
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憶測ですが、ウラジオストックでの会談で、相当な進展があったようです。
ここまでで北方領土問題で言われているのは、60年前の歯舞群島と色丹島の2島返還の話に加え、4つの島の面積按分で、日本に3.5島返還、歯舞・色丹に加え、択捉島と国後島の半分を日本側に返還すると言う話もあります。
60年前、日ソ間での2島返還に関しては、ソ連側の平和条約締結後2島返還というのに対し、日本側はまずは2島返還が先だと主張していて、ずっと平行線をたどってきたわけです。
また一部では領土面積ではなく、海洋面積を半分ずつにしようという話もあるようです。 領土には排他的海洋水域(EEZ)がついてきますからね。漁業のみならず、海洋資源も関連してくる重要な話です
北方領土問題で、日ロ間で急接近する話し合いが合ったのではとの噂の中には、北方領土では、ロシア人と日本人が共存できる、一緒に住むことができるようにするという話し合いがあったということも聞こえています。
あくまでも詳細は定かではありません。
領土問題は、両国がいかに譲歩しあうかによります。何らかの歩み寄りがあったのかもしれません。
北方領土返還でマーケットや日本の経済も大きく変わってくる
安倍総理のおじいさんに当たる岸信介元首相もソ連には近かったですし、安倍総理が所属する清和会のドンである森喜朗元総理も、ロシアとは強力なパイプを持っています。
今のロシア事情とすれば、原油価格下落により、かなり資金繰りが大変になっています。
シベリア開発に関しても、今はどうしても日本マネーがのどから手が出るほど欲しい状況と思われます。ロシアにすれば、日本の経済協力がないと、シベリア資源開発やサハリン開発がすすまない状態です。
マーケットにおいても、北方領土返還、平和条約締結となれば、大きく動く材料にはなると思われます。北方領土返還でマーケットは大きく動くと言われています。
日本の経済が大きく変わることになりそうです。シベリア開発という、新しい特需が生まれるかもしれません。
にわかに解散説が浮上…
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安倍総理が北方領土問題で、一部の島でも返還されることになればそれは大きな成果で、歴史に名を残すだけでなく、それを期に、一気に解散に打って出るのではとの噂もあります。
自民党安定政権が延命されますからね。今の民進党だと勝てると踏んでいるのだと思われます。
ここにきて、民進党代表に蓮舫氏が決まり、さらに、野田前総理が幹事長になったことで、俄然、年内解散が話題にあがってきました。蓮舫ならやりやすい、二重国籍問題は突っ込みどころ満載…自民党議員のつぶやきです。
安倍総理悲願の憲法改正を行えば、間違いなく支持率は落ちると永田町関係者は指摘しています。憲法改正後の選挙は逆風を覚悟しなければならないと、自民党関係者は読んでいるようで、できれば、解散は早い段階でやりたいという思惑はあるようです。
それゆえ、安倍総理は、今のプーチン大統領との関係が良好で、ロシア側の日本への経済協力期待が高まっているうちに、北方領土問題を何とか前進させたいと思っているのでしょう。
その表れが、13回にも上るプーチン大統領との直接会談が物語っていると思われます。「12月18日選挙を想定して行動するように…」ある自民党重鎮の言葉です。
解散したがっているのは公明党
公明党が党大会で、山口那津男代表の5選を正式決定しました。井上義久幹事長も再任されました。野党に転落した2009年9月に誕生した「山口─井上」体制は8年目に入ります。
山口代表続投の理由は、最大の支持母体である創価学会との関係が良好であることと、他にいないということのようですが、井上幹事長続投の理由は、選挙に強いということだそうです。
自民党二階俊博幹事長は、公明党とのパイプが深い人です。公明党はダブル選挙を嫌います。来年6月と言われる東京都議選が控えていて、解散をするなら年末か来年1月しかないと主張しています。
むしろ解散に関しては、公明党側が、積極的に働きかけているという話もあります。
いろんな意味で、日露首脳会談は、今後も注目しておいたほうがよいでしょう。それは、解散と言う政治的な話もそうですが、何より日本経済にとって、大きな転換期になるのかもしれませんね。(執筆者:原 彰宏)