「葬儀は自分が主役。自分好みの葬儀をしてもらいたい」
「遺していく家族に負担を掛けたくない」
ということで、葬儀の生前契約をする人も増えています。
ただこの葬儀の生前契約は場合によっては大きなトラブルになるもの。終活カウンセラーの資格を持つ私が、注意点をお教えします。
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目次
葬儀の生前契約とは
葬儀会社のなかには、生前契約をすることで安くなるところもあります。ホールの使用料が大きく割り引かれたり、お見舞金が出たりすることがあります。
また「自分の理想のお葬式」を組み立てやすくなること、料金の相場を知ることができるといったメリットもあります。
葬儀の生前契約をすることは終活の一つであると考えられており、「よりよい旅立ち」、「最後の時間までをどう過ごすか」を改めて意識させてくれるものです。
参考記事:何も準備してないと450万かかる葬儀費用 「生前手配」を利用して費用を節約しよう
生前契約でありがちな問題点
ただ、生前契約をしようと考えている場合は必ず家族と話し合ってください。
問題(1)
たとえばですが、「自分のお葬式は小さいお葬式にしたい」と小さなプランに申し込んだとしましょう。しかし顔が広く交流関係が多かった人の場合、小さなプランでは弔問客をさばききれないこともあります。
「本人の気持ちが優先だ」という人もいますが、せっかく来てくれた人に失礼があるのは望ましくありません。
問題(2)
葬儀会社の人間が「生前の意志を尊重する」として、本来ならば不要なほどの大きなプランを勧めてくる可能性もあります。本人がすでに亡くなっているため、意志の確認もできません。
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問題(3)
お金の処遇についてもめることもあります。家族と一緒の話し合いができていない、ということであれば、「料金が発生するのは葬儀の後」としているところを選ぶとよいでしょう。前払い金を支払ってしまうと遺族との意見が異なった時に面倒事が起こりやすいからです。
エンディングノートの活用を
「家族と話し合うことは難しいが、自分の意見も伝えたい」と思うのであれば、エンディングノートを使う方法があります。
エンディングノートは遺言書とは違い、法的拘束力はありません。
しかし「このように送り出してほしい」「葬儀会社にはこのように伝えてある」ということを書き記し、遺族に伝える有効な手段ではあります。多くの家族はエンディングノートに書かれている故人の意見を尊重してくれるでしょう。
葬儀のことこそ、家族と相談が大切です
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「死への旅支度」は、決して悲壮なものではありません。ただ、最後のときに後悔するようなことはしたくないものです。
「生前契約によってトラブルが起こることがある」とよく理解して、きちんと相談できる環境を整えておきましょう。(執筆者:鍋谷 萌子)