こんにちは! 国際フィナンシャルコンサルタントの荒川 雄一です。
さて今回は、タックスヘイブンを利用する目的別に、「パナマ文書」を発端とする一連の出来事が、今後に与える影響について、考えてみたいと思います。
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目次
1. 資産運用の拠点
すでに、ご存じとは思いますが、世界中の運用会社が、ファンドを設立するときに用いているのが、オフショア地域です。
海外の運用会社に限らず、日本の会社も、ケイマン籍やルクセンブルク籍などのファンドがたくさんあります。
運用期間中の収益を非課税とできることから、今後もファンドの活用は拡大することはあっても、なくなることはないといえるでしょう。
2. マネーロンダリング(資金洗浄)
テロ組織などへの資金提供も行われていることから、マネーロンダリングについては、今後、世界規模で締め付けが厳しくなっていくものと思われます。
タックスヘイブンにお金が出てしまってからは、防ぐことが難しいことから、「海外送金時(お金の出どころ)」でのチェックが、今後、非常に厳しくなると思われます。
3. 脱税
タックスヘイブンが、脱税の温床となっている側面があるのは否めません。
特に最近では、スイスのナンバーアカウント(名前のない口座)の情報開示への圧力も、高まってきています。
今後、ノミニーを使った法人設立についても、その設立を手伝ったやコンサル会社の属する国への情報開示の圧力が、高まることは間違いないといえるでしょう。
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4.節税(租税回避)
合法的なスキームで節税を行っているケースであっても、特にグローバルな大企業については、その風当たりは増すものと考えられます。
一方、中小企業や個人が節税の目的で設立するペーパーカンパニーについては、完全に掌握するのは難しいといえます。
とはいえ、ノミニーを使っての“実質的脱税”は、今後目をつけられる可能性があるため、あくまでタックスヘイブン対策税制をクリアする方法や合法的にトラストなどを利用することによって、取り組むことが必要なのは言うまでもありません。
最後に
さて、これだけ騒がれているタックスヘイブンではありますが、これは、パナマにある一法律事務所の情報が漏れたにすぎません。
また、最近では、パナマに続き、カリブ海の「バハマ」のペーパーカンパニーの情報も流出しました。私が10年前に聞いた話では、バハマには、300万社を超えるペーパーカンパニーがあるとのことでした。
世界中では、おそらく1000万社規模のペーパーカンパニーが、設立されていると思われます。今回の件で、戦々恐々としている政治家や大富豪も多く、いまその対応策に躍起になっているのではないでしょうか。
今後も、この問題は、当分尾を引きずることになるとは思いますが、「世の中に税金が存在する以上、タックスヘイブンの『仕組み』は、無くなることはない」といえるでしょう。(執筆者:荒川 雄一)