ここ最近、自動車業界が一気に未来へ進んでいる感があります。ハイブリッドカーや電気自動車は、ここ数年で一気に普及しました。そして最近普及が進められているのが、自動運転技術です。
今回は、車の自動運転と自動車保険との関係について見ていきます。
目次
自動運転の先駆け「日産の新型セレナ」
日本の自動運転の先駆けとなる車が、先日日産から発売された「セレナ」です。日産セレナには、ミニバンクラスでは世界初となる自動運転技術「プロパイロット」が搭載されています。
渋滞時の走行や長時間走行の際に、アクセルやブレーキ、ハンドルを自動制御する技術、これをプロパイロットと言います。
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日産セレナはレベル2
自動運転には、全部で4つのレベルが以下のように設定されています。
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多くの車に採用されている車線逸脱を軌道修正するシステムなどは「レベル1」、
日産セレナはさらに進めて「レベル2」となっています。とはいえ、日産セレナの自動運転技術は、あくまでもドライバーをサポートする役割にとどまっているのです。
これまでの自動運転技術は、高級セダンに先行して投入されることが多く、ミニバンで世界初となる自動運転技術導入は、相当なインパクトです。
新型日産セレナは、発売1か月で2万台を受注する大ヒットとなりました。
自動運転による責任は議論の途中
その一方で、自動運転技術を搭載した車が事故を起こした時、その責任は誰にあるのかについては、見解が分かれています。
アメリカのテスラモーターズ
自動運転の車と言えばアメリカのテスラモーターズですが、テスラは自動運転の車による事故はドライバーに責任があるとされています。
ボルボ
一方、ボルボは自動運転の車による事故はメーカーの責任としており、自動車メーカーの間でも見解が分かれています。
東京海上日動の対応は?
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東京海上日動は自動運転に積極的
2016年1月には、日本の国土交通省がテスラモーターズの自動運転機能を公道で使うことを認めたこともあり、決して他人事ではありません。
損害保険会社としても、オートパイロットの車も議論しなければならない段階に来ていますが、国内最大手の損保会社である東京海上日動は、どのような対応をとっているのでしょうか。
実は東京海上日動は、意外と自動運転に関しては積極的な姿勢を見せており、石川県と愛知県で行われている自動走行の実験プロジェクトに参加しています。
レベル3までの自動運転車に対応する特約
そして、東京海上日動は、本業である損害保険でも自動運転車への対応を進めています。
東京海上日動が提供する自動車保険では、レベル3までの自動運転車が起こした事故について、補償の対象とすることを発表しました。この試みは、もちろん国内初です。
自動運転専用の保険も開発中とのことですが、当面は無料で付帯できる特約で対応するようです。2017年4月から運用が開始されます。
対象の範囲は
特約で補償対象となるのは、自動運転システムの欠陥が判明している場合ですが、事故の原因が欠陥によるものかどうかわからない場合でも、保険金は支払われます。
これならば、自動運転システムが誤作動を起こして事故を起こしたり、無人の車が外部からハッキングされて事故を起こしたりした場合でも、補償されるわけですね。
東京海上日動の姿勢
被害者救済を第一に考えてドライバーに保険金を支払います。
その後、事故原因の究明などをじっくりと行ない、自動運転システムが原因の事故と分かれば、東京海上日動が自動車メーカーに賠償を求めるということです。
現状では
ドライバーが関与できるレベル3までの適用にとどまっており、レベル4の車は対象外となっています。レベル4の適用は、専用保険の開発を待つ必要があるでしょうが、新型日産セレナを購入した方は、注目の特約ですね。(執筆者:角野 達仁)