TV付き賃貸物件の入居者や携帯電話所有者に関する契約義務を巡って、NHK側が相次いで地裁の裁判で敗訴しています。
NHKの主張する契約義務に関しては、法的根拠が疑わしいと思われる報道が最近相次いでおり、特に前者のTV付き賃貸に関しては、契約義務者の取り違えと受信料返金まで認める異例の判決に発展しています。
しかし、最近強化されている国民年金保険料の強制徴収は、納付義務がある人の滞納放置は大きな問題に発展します。
納付率6割程度と言われていますが、年金不信を理由に払わなくてもいいだろうとは考えていられない状況です。
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目次
国民年金保険料の強制徴収の動き
少子高齢化に伴い年金保険料が上昇しているうえに、社会保険庁時代に端を発する年金記録問題などの不祥事もあり、国民に根強い年金に対する不信があるのは否めません。
このような状況であっても、国は年々、国民年金保険料の強制徴収を強化する動きに出ております。
平成26年4月から年間所得400万円以上で滞納月数13か月以上であったものが、平成27年4月からは年間所得350万円以上・未納月数7か月以上、平成28年4月からは年間所得300万円以上・未納月数13か月以上に徐々に所得基準を引き下げています。
この強制徴収の強化とは、上記の要件に当てはまる人全員に督促状を送るということです。この督促状を無視していると、最悪財産の差し押さえになります。
通常、差し押さえまでは下記の流れで日本年金機構が書類送付等を行います。
特別催告状
↓
最終催告状
↓
督促状
↓
差し押さえの予告
↓
差し押さえの執行
恐ろしいと言える法的根拠:NHK受信料との違い
NHK受信料は、徴収員が放送法を基に契約をせまってくるケースがよくあります。
放送法の要件に当てはまる世帯(受信設備を設置していた者)にはNHKとの契約締結義務があり、契約に基づいて受信料を支払うことになります。受信料はあくまでもNHKという特殊法人に対する代金(公共料金)の支払いです。
まず契約が成立しなければ、支払い義務が生じません。放送法に基づく一定の強制力はあるものの、そもそも法的義務も無い世帯に契約させていた可能性も、裁判により明らかになってきています。
前段の差し押さえ手続に関しては、契約締結後のNHK受信料についても個別に行われています。
しかし万が一、自己破産して免責許可がおりた場合、税でも税に準ずるわけでもないので、破産開始決定前の受信料は免責となります。
第3号被保険者に該当する専業主婦・パート主婦や厚生年金の加入者(第2号被保険者)を除けば、第1号被保険者として国民年金保険料の支払義務が生じます。
日本国内に住む20歳~59歳の人は、「強制加入被保険者」という言葉もあり、1号・2号・3号どれでもないということは法的に認められていません。また、国民年金保険料は、税に準ずるので免責にはなりません。
払えないのであればまず免除申請を
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NHK受信料であれば、受信契約の妥当性自体から問える可能性もあります。しかし国民年金保険料の場合は、払えないのであれば免除制度がありますので、免除申請しましょう。
障害年金・生活保護受給者は全額が免除されますし、その他前年の所得により全額または一部が免除されます。この免除基準はNHK受信料に比べれば緩いものです。
差し押さえまで至るのは、無視する姿勢が傷口を広げるケースが多いので、年金事務所等に行って、ご自身の状況を話すことから始めましょう。(執筆者:石谷 彰彦)