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誰のための保険なのか
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医療保険・生命保険などに加入するとき、契約書に必ず受取人を記入します。受取人に関して注意すべきことを、具体的な事例を交えてご紹介します。
保険契約は、保険料を支払う契約者、死亡や入院・手術など、保険事故の対象となる被保険者、そして保険金・給付金を受け取る受取人を設定する必要があります。
それぞれ別の人である必要はなく、
・ 契約者=受取人
などにすることもできます。
また、入院・手術給付金と死亡保険金の受取人は、それぞれ違う人を指定できます。
保険を契約するときは、つい保険料額や保険金額に目を向けがちなのですが、受取人も慎重に選ばなければなりません。
「自分が万一死亡したとき、誰にお金を残したいでしょうか。」
こうしたことをきちんと考えておくべきです。
受取人に関するトラブルの事例を以下に挙げていきましょう。
ケース1 給付金の受取人を前妻に…
契約者・被保険者:Aさん
給付金受取人:Bさん(Aさんの元妻)
Aさんは、Bさんと結婚した際に医療保険に加入しました。その後二人は離婚。Aさんは再婚し、新たな家庭を築いています。
ある日、交通事故に遭い、1か月入院しなければならなくなりました。いざ給付金を請求しようと保険会社に連絡すると、「請求はBさんからお願いします」と言われてしまいました。
たとえ婚姻関係がなくとも、この場合の給付金請求権はBさんにあります。そのため、Bさんに連絡を取らなければならず、請求手続きが非常に煩雑になってしまいます。
Aさんは、
でした。
また、入院を開始した後すぐに受取人変更を行ったとしても、受取人変更の成立日以前の入院はやはりBさんに請求してもらわなくてはなりません。
ケース2 判断能力のない人が受取人に
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契約者・被保険者・給付金受取人:Cさん
高齢のCさんは、ある日突然脳梗塞で倒れ、緊急入院。そのまま意識が戻らず寝たきり状態になり、判断能力を失ってしまいました。
Cさんの子どもが代わって医療保険の入院給付金を請求しようとしたところ、
と言われました。突然の発病だったこともあり、事前に成年後見人の選出を行っていませんでした。
成年後見制度は、家庭裁判所に申し立てを行う必要があり、時間もかかります。手続きを行っていない人は、Cさんのような状態になったとき給付金を誰も受け取れない状態になってしまいます。
ケース3 がんの病名を受取人に告知したくない
契約者・被保険者:Dさん
給付金受取人:Eさん(Dさんの妻)
健康診断で異常指摘を受けたDさんは、病院で精密検査を受けた結果胃がんと診断されました。幸い手術で取り除けるものだったこともあり、妻には心配かけたくないからと、
と嘘をつき、治療を受けました。しかし、いざがん保険の入院給付金を請求しようとしたところ、
と言われてしまいました。
がんという病気は、ひと昔前までは不治の病とされ、患者さんやそのご家族が医師から告知を受けないケースが多くありました。
今は医学の進歩も手伝って、告知をすることが多いようですが、本人やご家族の希望があれば告知をしないこともあります。
いざというとき病気を告知するかしないか、契約時にそこまで判断することは難しいですが、
また、ケース2同様、指定代理請求人をあらかじめ指定しておくと、その人が受取人に代わって給付金を請求することができます。
ケース4 法定相続人を探すのが大変!
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契約者・被保険者:Fさん
死亡保険金受取人:Gさん(Fさんの母)
Gさんの家族関係:夫・親ともに他界。子はFさんのみ。兄弟姉妹が6人。
ある日Fさんが亡くなりました。その5年前にGさんはすでに死亡していましたが、生前Fさんは受取人変更を行っていませんでした。
親族がFさんの死亡保険金を請求しようと保険会社に相談したところ、
と言われました。
Gさんの夫・親はすでに他界、唯一の子であるFさんも亡くなったため、次の相続順位はGさんの兄弟姉妹となります。Gさんには6名の兄弟姉妹がおり、住んでる地域もバラバラで連絡を取るのが大変です。
このケースでは、Fさんの死亡保険金はGさんの相続財産となります。そのため、Gさんの法定相続人全員に請求の権利が生じ、その中の代表者1名が保険金を受け取ることになります。
相続人全員が合意していることを証明しなければならないため、Gさん本人の除籍謄本及びGさんの兄弟姉妹6名分の戸籍謄本と、全員が署名した書類を保険会社に提出する必要があり、手間がかかってしまいます。
受取人はしっかり確認しましょう
受取人をしっかり確認しておかないと、請求手続きが煩雑になったり、お金が必要なタイミングですぐに給付金を受け取れない事態になったりする恐れがあります。
結婚や離婚、家族との死別など、何かあればまず保険契約の内容を確認し、受取人変更が必要ならすみやかに手続きを行いましょう。(執筆者:近藤 あやこ)