厚生労働省の平成27年度雇用均等基本調査によると、男性の育児休業取得率は2.65%。
この低すぎる取得率の実態。様々な事情があってのこととは思いながらも、男性の育児休業がまだまだ浸透していない現実が見えてきます。
政府は
ことを目標としていますが、ここでは改めて仕事と育児の両立を支援する制度について見ていきたいと思います。
目次
育児休業制度ってどんな制度?
育児休業制度は女性だけが取得できる制度ではありません。
その制度の存在自体は知っているけど、正しく理解していない人も多いようです。
育児休業制度を取得できるのはどれでしょう?
・ 妻が専業主婦の場合
・ 妻が育児休業中の場合、夫は?
・ 就業規則に書いてない場合
実は…この3つ全部のケースで夫も育児休業制度を取得できるのです!
また有期契約社員であっても要件を満たしていれば、取得可能な制度なのです。
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期間の延長もできるのです!
育児休業の期間は「子が1歳に達するまでの間」となっていますが、次のような事情がある場合には1歳6か月まで延長できます。
・保育所等への入所を希望し申し込みを行なったが入所できなかった場合
・配偶者が養育する予定だったが、病気等により子を養育することができなくなった場合
育児休業制度を夫婦で取得するメリット
「パパ・ママ育休プラス」という特例制度により1歳2か月まで休業期間を延長できます。
これは夫婦が同時に取る場合、また交代で取る場合のどちらにも適用されます。
そして意外と知られていない大事なメリットが「パパ休暇」。
育児休業の取得回数は「子ども1人につき、連続した1回」と定められていますが、実は
なのです。
知っておきたい経済的な支援
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雇用保険の一般被保険者が育児休業を取得した場合に給付されるのが「育児休業給付金」。
夫婦共に育児休業を利用した場合でも、それぞれに給付される制度です。
給付額は
・ 育児休業開始から6か月経過後は50%
が支給されます。
更に社会保険(健康保険・厚生年金保険)の保険料が免除されます。
これらの支援により、手取り賃金で比べると休業前の約8割が支給される計算になります。
イクメン企業アワード2016 グランプリ受賞
ここからはイクメン企業アワード2016で注目された企業の取り組みについて見ていきましょう。
株式会社丸井グループ
平成25年度13.8% → 平成27年度65.5%
子どもが1歳になるまでの間、最大7日間有給を取得できる「短期育児休業制度」を導入したことで、育児休業取得率が大幅アップ。
また育児により勤務エリアを一時的に限定できる「エリア限定制度」も導入。仕事と育児を両立できる職場環境を整えることで女性の就業継続意欲も向上しています。
リコーリース株式会社
平成25年度20% → 平成27年度76.5%
子どもが生まれた男性社員が最低5営業日以上の育児休業を取得し、家事や育児に主体的に取り組むことができる「育メン・チャレンジ休暇制度」を導入。
これにより男性の育児休業取得率が大きく向上しました。
この休暇が単なる休みにならないよう、配偶者からの評価を盛り込んだ報告書を提出してもらうなど、育児や家事に取り組むための効果的な制度を取り入れています。
イクメン企業アワード2016 特別奨励賞受賞
大成建設株式会社
平成24年度1人 → 平成27年度10人
配偶者出産休暇、育児休業制度、勤務時間の繰り上げ繰り下げ、家族の職場訪問などの取り組みを徹底的に行なっています。
またパパ座談会、父親セミナー、パパ通信の実施、パートナーも参加可能な両立セミナーなどのイベントも積極的に開催しています。
大和証券株式会社
平成25年度2% → 平成27年度73%
2020年までに男性育児休業取得率100%を目指しており、育児休業開始から2週間を有給化、子どもの行事に合わせ休暇を取得できる「キッズセレモニー休暇」などを取り入れています。
また仕事と育児の両立支援に関するアンケートを定期的に実施し、社員のニーズに応える取り組みも行なっています。
子育て支援に積極的なダイキン工業の取り組み
このほかにもダイキン工業では、子どもが生後6か月未満で復職した社員には育児支援カフェテリアプラン制度や柔軟な勤務形態の導入などを行なっています。
育児支援カフェテリアプラン制度
子どもを持つ共働きの従業員が残業や出張時、また子どもの病気時に利用した育児支援サービスに対して費用補助を行なう制度です。
さらに小学生までの子を持つ社員に対しては在宅勤務制度も取り入れています。
男性従業員に対しても「育児のためのまとまった休暇」の取得を奨励。
性別に関わらず仕事と育児を両立しながら活躍できる環境づくりを積極的に進めています。
育児休業を取得しやすい環境づくり
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男性の育児休業取得を促進するためには、何よりも「取得しやすい環境づくり」が重要です。
厚生労働省では、
・労働時間を適切に管理
・業務分担の適正化
・スケジュールの共有化
・会議の無駄を省く
・担当以外の業務を知る
など、働き盛りの男性社員が仕事と子育てを両立しやすい職場環境をつくっていくことを推奨しています。
妊娠中からの支援も考えてもらえると助かります
女性の視点から言えば、出産後だけでなく妊娠中からの支援も考えてもらえると助かります。
妊娠中の体調には個人差がありますが、時短勤務や在宅勤務を積極的に利用できる職場環境であればもっと心強いのではないでしょうか。
国内外で話題になった「知事が妊婦に。」のように、妊婦体験などを通してその大変さが広く男性にも理解してもらえるようになればと思います。
「子育てと仕事を両立しやすい社会」にするためには、決して他人事と捉えるのではなく、私達ひとりひとりの意識改革が必要になってくると言えそうです。(執筆者:藤 なつき)