先日ある有名な俳優さんが17歳の女性と、飲酒及び不適切な関係を持ったと週刊誌に報道され、所属事務所から無期限の活動停止が発表されました。
このように所属事務所が厳しい対応を取ったのは、未成年にお酒を飲ませただけでなく、青少年(既婚者を除く18歳未満の男女)との淫行などを禁止する、いわゆる「淫行条例」に、違反する可能性があったからだと思います。
ただ親の同意がある場合には、女性は16歳になれば結婚ができるので、結婚を前提にした真剣なお付き合いだと証明できれば、淫行条例に違反しない可能性もあるようです。
もし実際に十代で結婚した場合、公的医療保険や公的年金の手続きは、どのようにすれば良いでしょうか?
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十代の妻は健康保険の被扶養者であっても、第3号被保険者ではない
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例えば会社員の男性と結婚している、年収が130万円未満の女性は、夫が加入する健康保険の被扶養者になるので、自分で保険料を納付する必要はありません。
またその妻は原則として、国民年金の第3号被保険者になるので、こちらの保険料も納付する必要もありません。
しかし年収が130万円未満の十代の女性が、会社員の男性と結婚した場合には、健康保険の被扶養者にはなるのですが、国民年金の第3号被保険者にはならないのです。
その理由として国民年金の第3号被保険者には、「20歳以上60歳未満」という、加入年齢の下限と上限があるからです。
ですからこのケースのように十代で結婚した場合には、妻が20歳に達した日に、国民年金の第3号被保険者になります。
なお健康保険の被扶養者については、加入年齢に下限はないのですが、原則として75歳になると、後期高齢者医療制度に加入する必要があるので、上限は75歳になっております。
夫の定年時に妻が60歳未満だと、保険料を納付する義務が発生する
十代で結婚した場合に限らず、夫と妻の年齢が離れていると、夫が定年退職を迎え、社会保険(健康保険、厚生年金保険)から脱退した時に、妻がまだ60歳未満という場合があると思います。
こういったケースでは、夫が社会保険から脱退した時に、妻は健康保険の被扶養者でなくなり、また国民年金の第3号被保険者から、第1号被保険者に変わります。
そうなると夫婦は原則として、国民健康保険に加入する必要があり、また妻は今まで納付する必要のなかった国民年金の保険料を、60歳になるまで納付する必要があります。
この理由として国民年金の第1号被保険者には、「20歳以上60歳未満」という加入年齢の下限と上限があり、この間については海外に居住している場合などを除き、強制加入になるからです。
ただ夫が定年退職を迎えて、年金だけで生活している場合には、収入が現役時代より少ないため、申請により保険料の納付を、免除される可能性があります。
加入年齢の上限はあっても、下限はない厚生年金保険
会社員や公務員の方が加入する厚生年金保険には、70歳という加入年齢の上限があります。
なお原則25年の受給資格期間を満たせず、老齢年金を受給できない方については、70歳以降も「高齢任意加入被保険者」として、厚生年金保険に加入できる場合があります。
ただ受給資格期間は2017年8月から、原則10年に短縮されると決まっているため、この制度を活用する必要性は低くなりそうです。
その一方で厚生年金保険には、加入年齢の下限はありませんので、中学や高校を卒業すると同時に、正社員として働き始めた場合には、20歳になる前から厚生年金保険に加入します。
20歳未満の時に納付した保険料は、老齢厚生年金の金額に反映される
20歳になる前から厚生年金保険の保険料を徴収され、納得できない方がいるかもしれません。
ただ中学や高校を卒業してから、20歳になるまでに納付した保険料は、原則65歳になった時に支給される「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」のうち、老齢基礎年金の金額には反映されませんが、老齢厚生年金の金額には反映されます。
また厚生年金保険に加入していると、一定の障害状態になった時に、障害年金が支給されたり、自分に万が一の事態が発生した場合には、一定範囲の親族に遺族年金が支給されたりするので、決してデメリットばかりではありません。
なお厚生年金保険に44年(528月)以上に渡って加入すると、「長期加入者の特例」という優遇措置を受けられる場合があり、これは中学や高校を卒業すると同時に就職した方でないと、なかなか達成できないと思います。
親族を健康保険の被扶養者にすれば、保険料を納付する必要がなくなる
厚生年金保険に加入する要件を満たしていると、原則として健康保険にも加入するので、こちらの保険料も給与から控除されます。
これに納得できない方がいるかもしれませんが、お得な面も多くあり、例えば国民健康保険に加入している父母、祖父母、兄弟姉妹などの親族を、自分が加入する健康保険の被扶養者にすれば、保険料を納付する必要がなくなります。
健康保険の被扶養者にするのは、親族の年収が130万円未満などの要件を満たす必要があり、決して簡単ではありませんが、かなりの節約になりますので、要件に該当する親族を探してみる価値はあると思うのです。
加入年齢の下限や上限の知識は、人生設計を考える時などに役立つ
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今の日本において十代で結婚や就職をする方は、それほど多くはないと思うので、これまでに記載した知識は、直接的には役に立たないかもしれません。
しかし公的医療保険や公的年金に加入する年齢の、下限や上限を知っておくと、人生設計を考える時や年金記録を調べる時などに、きっと役に立つと思います。
例えば国民年金の第3号被保険者の妻が、あと少しで60歳になるので、それまでは正社員で働くという人生設計を立てておくと、退職後に国民年金の保険料の納付書が届いて、早く退職したのを後悔するなどということはなくなるはずです。(執筆者:木村 公司)