60歳でリタイアし、働かずに年金で悠々自適に暮らすという時代は、“昔の話”になっています。
健康であれば、「働く」ということへの間口は広がっていて、希望や能力によって、いろいろな働き方ができる時代になっています。
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老後に必要なお金は?
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よく言われているのが、老後の資金は3000万円必要と言われています。平成27年度、家計調査によると無職世帯の1ヵ月の支出は27万円。
一方、年金収入は21万円と6万円の赤字が出ます。長寿になった我が国で平均寿命が90歳になるのも、そんな先ではないでしょう。
65歳から90歳までの25年間この赤字が続くわけです。赤字の総額は、6万×12ケ月×25年間で1800万円にも上ります。
この他、介護や病気、家のリフォームや子供のことなど、不測の事態を考えると3000万円必要と言われる理由です。
いつから老後のお金を貯めればよいのか?
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では、老後のお金をいつから準備すればよいのでしょうか?
現代の若者はお金を使うよりは蓄えにという時代のようですが、20歳代は自己投資のためにお金を使い、30歳を過ぎたあたりから貯蓄を考えると良いようです。
結婚後お金を貯めるチャンスとして、3つチャンスのポイントがあります。
1つ目は子どもが生まれるまで、2つ目は子どもが小学生の間、3つ目は子どもが独立後定年までと言われており、1つ目、2つ目のチャンスが30歳代になるからと考えられます。
もう、30歳を過ぎてしまって、どうしようもないと思っておられる方へ、いくつになっても貯められます。行動に嘘はありません。アクションを起こすことで状況は変わります。
老後が心配になってしまわれた方、そのほのかな不安感がお金を貯める原動力になるのです。
しかし、お金を稼ぐことには限度があります。貯蓄を増やすためには、お金の使い方にも新しい意識を持つ必要があります。
「みんなが持っているから」という横並び意識は捨て、「これで十分」、「これがいい」と自分の基準、軸を持つことが重要です。
減った給与の一部をカバーしてくれる制度がある!!
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給与面に関して見ると、60歳を過ぎるとそれまでの給与の5割から7割程度に減るケースが多いのが現状です。その際に、カバーをしてくれる制度があります。
それは、高年齢雇用継続基本給付金、高年齢再就職給付金などの「高年齢雇用継続給付」というものです。
いずれも、対象は60~65歳未満の方で、雇用保険の一般被保険者であった期間が5年以上あり、60歳以上の賃金が60歳時点の75%未満に低下した場合です。
「高年齢雇用継続基本給付金」は引き続き同じ会社に再雇用されて働くなど、失業保険をもらわない方が対象で、「高年齢再就職給付金」は失業保険をもらった方が対象になります。
各月の賃金が60歳時の賃金の61%以下の場合、その月の賃金の15%相当が支給されます。61~75%未満の場合は、その低下率に応じて支給対象月の15%相当未満の額が支払われます。
ただし、支給対象月の賃金が33万9560円を超えた場合は支給されません。(金額は毎年8月1日に変更されます。)
2か月に1度、ハローワークに申請書の提出が必要です。
しかし、60~64歳の方は働きすぎると損をすることがあります。年金と合わせて月28万円以上もらうと、28万円を超えた分の半分がカットされてしまいます。
ボーナスが支給される場合はボーナスの金額を月割りした額も+されます。これは厚生年金加入者だけが適用されます。
60歳からの第2の人生を謳歌するという時代ではなくなってしまいましたが、元気であれば、働く場所があるということは社会とのつながりであり、やりがい、生きがいにつながることかもしれません。惜しまれし昔を悔やんでいるよりは、現状を受け入れ、自分らしく人生を謳歌しましょう!(執筆者:天海 文香)