現代の日本は、超高齢化社会です。
それに伴い、認知症の患者数も増えており、彼らによる事故なども増えています。
今回は、MS&ADインシュアランス グループが販売している「個人賠償特約」について紹介します。
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目次
認知症患者は今後も増える予想
現代の日本は、少子高齢化に伴い、総人口に占める65歳以上の高齢者の割合が27.3%(2016年9月時点)と、過去最高に達しています。
ただし、全ての高齢者が健康に過ごせるとは限らず、体が不自由になったり認知症になったりなど、満足いかない環境に陥っている高齢者も少なくありません。
この数は今後も増えていくことが予想され、2025年には65歳以上の5人に1人が認知症患者との予測も出ています。
認知症患者による事故が増加している
認知症患者の増加に伴い、彼らによる事故件数も増加しています。
認知症患者の運転する車や自転車が事故を起こし、相手にけがをさせたり物を壊したりという被害は増えています。
これに関しては、自転車を取り上げたり、自動車運転免許の更新ができなかったりする可能性が高いため、対処できるでしょう。
しかし、認知症患者の徘徊を止めることはできません。
最近、認知症患者が徘徊しているうちに、誤って線路に立ち入ってしまい、電車を止めてしまうというケースが増えています。
物損事故ではありませんが、電車を止めることで数百万円単位の賠償請求を受けるケースも増えており、認知症患者の家族にとっては大きな負担です。
従来の個人賠償特約は、物損やけがの場合のみ対応
これまでの損保会社にも、個人賠償特約はありました。
しかし、従来の個人賠償特約は、偶然な事故で他人にけがをさせたり、相手のものに損害を与えたりした場合が対象でした。
つまり、認知症患者が徘徊していて誤って線路に侵入してしまい、電車を止めてしまった場合、ケガも物損もないため、特約の対象とはなりません。
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MS&ADインシュアランス グループの個人賠償特約は、ケガや物損を伴わない賠償も対象
MS&ADインシュアランス グループの「三井住友海上火災保険株式会社」と「あいおいニッセイ同和損害保険株式会社」では、ケガや物損を伴わない賠償も対象とした個人賠償特約の販売を、2017年1月1日より開始しています。
同社では、2015年10月に従来の特約を改正しています。これにより、認知症患者に対する補償が手厚くなりました。
具体的には、認知症患者など責任無能力の人が事故を起こした場合に、本来監督義務を負う親族が患者と別居していた場合も、補償の対象とすることにしています。
ただし、従来の特約では人的・物的な損害を伴わない事故は補償の対象ではありません。
そこで、従来の特約をカバーする形で、今回の新特約が登場したのです。
三井住友海上「GK すまいの保険 グランド」に付帯する個人賠償特約の概要は、以下のようになっています。
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最高1億円の賠償金は、非常に手厚いですね。
保険料は?
ちなみに保険料は、年齢や床面積、加入年数や築年数などで異なるようですが、年間平均3000円程度の追加のようです。
注意点
しかし、MS&ADの個人賠償特約には、以下の注意点もあります。
(1) 対象の保険が限られている
この特約をセットできる保険は、三井住友海上の「GK すまいの保険 グランド」と、あいおいニッセイ同和損保の「タフ・住まいの保険あんしんパッケージ」のみです。
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三井住友海上では「日常生活賠償(電車等運行不能賠償追加型)特約」、あいおいニッセイ同和損保では「個人賠償(電車等運行不能賠償追加型)特約」と、名称も微妙に異なります。
(2) 支払い対象外の場合もある
・ 外国での損害
・ 故意によって生じた損害
主に上記のようなケースに該当する場合、支払い対象外となります。(執筆者:角野 達仁)