日本は、世界でも珍しい「国民皆保険制度」を導入しています。
サラリーマンは「社会保険」、公務員は「共済保険」、そしてそれ以外の人は「国民健康保険」に加入することとなっており、医療費などを節約できます。
社会保険と共済保険は、自分で保険料を支払っている意識がありませんが、国民健康保険加入者は、決して安くはない国民健康保険料に頭を悩ませている人も少なくありません。
特に、最近はフリーランスで働く人が増えており、それに伴って国民健康保険の対象者も増えています。
そこで今回は、フリーランスの方もお得に国民健康保険に加入できる方法を紹介します。
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目次
会社都合で国民健康保険になった場合は、保険料が安くなる
自分の意思ではなく、会社の都合で「社会保険 → 国民健康保険」に鞍替えした場合は、通常よりも安い保険料で国民健康保険加入できます。
これを「非自発的失業者の国民健康保険料の軽減」と呼びますが、以下の条件に当てはまる人は要チェックです。
(1) 65歳未満で退職した人
(2) 雇用保険の特定受給資格者(解雇、倒産など)
(3) 雇用保険の特定理由離職者(雇い止めなど)
(1)と(2)、(1)と(3)のいずれかを満たせれば対象となります。
気になる保険料ですが、国民健康保険の運営主体は、各市区町村です。
各市区町村によって国民健康保険の保険料は異なり、上は年間50万円以上から、下は年間14万円弱まであります。
この保険料が、通常の70%オフ程度で加入できるのですから、お得なこと間違いありません。
ただし、(1)~(3)のいずれの条件にも該当しなければ、この制度はもちろん使えません。
国民健康保険組合に加入
もう一つの方法は、国民健康保険組合に加入することです。
通常の健康保険との違いですが、通常の国民健康保険は各市区町村が運営主体なのに対して、国民健康保険組合は同業種・同職業の組合です。
国民健康保険組合は、業種や職業ごとに組織されており、その条件も組合ごとに異なります。
フリーランスの方が最もお世話になる組合と言えば、「文芸美術国民健康保険」です。
加入資格
加入資格は、以下のようになっています。
・ 文芸、著作活動、美術に従事して、組合加盟の各団体の家族とその家族
ここでポイントとなるのが「組合加盟の団体」ですが、主に以下のような団体があります。
・ 公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)
・ 公益社団法人日本ネットクリエイター協会(JNCA)
保険料
文芸美術国民健康保険の保険料は、平成29年4月現在で以下のようになっています。
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通常の国民健康保険の保険料を先に説明しましたが、それと比べるとかなり保険料が安いことが分かります。
注意点
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ただし、文芸美術国民健康保険には以下のような注意点もあります。
入会には審査がある
国民健康保険とは異なり、無条件で加入できるわけではありません。
入会には審査があるのですが、その際にはいろいろと準備をしなければなりません。
確定申告書の控えはもちろん、職業によっては実績(イラストレーションの作品など)も提出する必要があります。
確定申告書の職業欄には、できるだけ具体的な職業名を書きましょう。「自由業」、「自営業」などでは、アウトの可能性が高まります。
「イラストレーター」、「著述業」、「WEBデザイナー」などと書きましょう。
組合加盟の団体には「入会金」、「年会費」がかかる
文芸美術国民健康保険の保険料とは別に、組合加盟の団体に「入会金」、「年会費」を納めないといけません。
先に紹介した団体の入会金、年会費は以下のようになっています。
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ただし、文芸美術国民健康保険以外にも、団体に加盟すると「福利厚生」、「物販の割引」などのメリットもあります。(執筆者:角野 達仁)