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医療保険の1回の入院の限度日数
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医療保険の入院給付金は、1回の入院あたりの支払限度日数が設けられており、無制限に受け取ることはできません。
支払限度日数は30日、60日、120日、180日など、保険会社や商品によってさまざまです。
では、いったい何日間の保障があれば安心できるのでしょうか。
実際入院した方の在院日数などをもとに、考えてみましょう。また、保険会社が定める「1入院」の規定についても解説します。
平均的な入院日数は?
平成26年9月の全国の退院患者に対して行った厚生労働省の「患者調査」によると、すべての年齢・すべての疾病における平均在院日数は31.9日間と報告されています。
・ 15~30日 16.2%
・ 1~3か月 12.6%
・ 3~6か月 2.6%
・ 6か月以上 1.6%
3か月以上の入院は5%にも満たないのです。
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また、当然ながら、入院日数は年齢によって大きな差があります。
・ 15~34歳 12.0日
・ 35~64歳 24.4日
・ 65歳以上 41.7日
・ 75歳以上 47.6日
年齢が上がるほど入院が長くなる傾向にあります。
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病気によってもかなり差があります
・ 眼及び付属器の病気の平均入院日数は4.1日
・ 妊娠、分娩及び産じょくは7.9日
・ 精神及び行動の障害は291.9日
・ アルツハイマー病は266.3日
比較的短いものもあれば、長期化しやすい病気もあります。
過去のデータと比較すると、平成2年の平均入院日数は44.9日。平成14年は37.9日です。
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さらに政府は、高齢化で膨らみ続ける医療費を抑えるため、2025年時点で今よりも病床数を16万~20万床減らす目標を掲げています。
今後は自宅や介護施設での治療が増え、ますます入院日数が短くなっていくでしょう。
参照:厚生労働省 平成26年(2014)患者調査の概況(pdf)
1入院の限度日数、何日間が最適?
限度日数は保険会社や商品によって異なります。大は小を兼ねるからと、限度日数の長い保険を選びたくなりますが、当然、限度日数が長く設定されているほど保険料も高くなりますので、慎重に選択すべきです。
現在販売している医療保険は、限度日数が60日に設定されているものがもっとも多いです。
前述した、厚生労働省の平成26年患者調査の、8割を超える患者が30日以内に退院している 結果からも、60日分の保障があれば十分だと考えられているためです。
ただし、保険会社の「1入院」のルールを知らなければ、いざというとき保障が少なかった! ということにもなりかねません。
保険会社が定める「1入院」の規定を要チェック
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実は、保険会社が定める1回の入院は、実は入院開始日から退院日までではありません。
退院後180日以内に同じ病気または医学的に重要な関連のある病気で再入院した場合、日数を通算するというルールがあるのです(ケガの場合は受傷から180日以内の入院を通算します)。
例)肺がん手術のために30日間入院
退院日から30日後、同じく肺がんに対する抗がん剤治療のために、2週間に1度1週間(7日間)の入院を6回繰り返した場合。
ということになるのです。
ことになります。
上記は一例ですが、このようなルールを設けている保険は多くあります。保険会社によって細かなルールはさまざまですので、加入する際は必ず確認しましょう。
医学的に重要な関連のある病気とは
「医学的に重要な関連のある病気」というのも判断が難しいところではあります。
上記の例で言うと、
と考えられます。
しかし、このあたりの審査基準も保険会社によって異なると思います。所定の医師の診断書をもとに支払判断が行われますので、医師が「関連はない」と断言すれば、別の入院と見なされるかもしれません。
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通算限度日数も定められている
これは余談ですが、通算支払限度日数も規定されています。その日数は1,000日や1,095日など商品によって違いますが、通算まで達することはほとんどありませんので、あまり気にする必要はないと思います。
まとめ
がんのように入退院を繰り返す傾向にある病気に対しては、支払限度日数のない「がん保険」を選択するのも一案です。
高齢化によって起こる医療現場の変化も考慮しながら、自分にとって最適な保険を選びましょう。(執筆者:近藤 あやこ)