先日、国税庁のホームページ内のタックスアンサーにて、「仮想通貨を使用した場合の利益は雑所得に該当する」旨の回答が行われました。
これにより、これまでグレーだった仮想通貨の課税議論は一応の終止符が打たれたわけですが、今回の発表により、一部の仮想通貨愛用者からは
と驚きの声が上がっているようです。
関連記事→国税庁が仮想通貨は「雑所得」と発表 仮想通貨に節税効果がなくなることが明確になる。確定申告も忘れずに。
目次
仮想通貨に課税されるのは3つのタイミング
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1.保有の仮想通貨売却時に差益が発生した場合
株式や外貨と同様、仮想通貨の購入時と売却時の差額が所得として課税の対象です。
2.保有の仮想通貨によるモノやサービスの購入時に差益が発生した場合
これは、「仮想通貨で直接何かを買った」と考えるのではなく、
と考えます。
例)ビットコイン1BTCでテーブルを購入した場合
ビットコイン購入時の時価:1BTCあたり10万円
テーブル購入時のビットコインの時価:1BTCあたり40万円
この場合、「10万円で購入したビットコインを40万円で売却し、その40万円でテーブルを購入した」と考えます。そのため、所得計算は次のようです。
3.保有の仮想通貨による他の仮想通貨購入時に差益が発生した場合
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仮想通貨で有名なのがビットコインですが、他にもイーサリアムやリップル、ライトコインなど様々な仮想通貨があります。
そして、現時点でも新たに採掘されている仮想通貨が続々と登場しており、富裕層を中心に注目を集めています。
仮想通貨Aで仮想通貨Bを直接購入した場合、(2) と同様に「いったん仮想通貨Aを売却して日本円に換算した後、仮想通貨Bを購入した」と考えます。
例)イーサリアム10ETHでビットコイン1BTCを購入した場合
購入時のイーサリアム時価:1ETHあたり2,000円
ビットコイン購入時のイーサリアム時価:1ETHあたり4万円
この場合、「保有のイーサリアム10ETHを売却して日本円に換算し、その日本円でビットコイン1BTCを購入した」と考えます。そのため、計算式は以下のようです。
なお、上記のいずれでも、差損が発生した場合、カウントされません。雑所得区分では、マイナスは「ゼロ」とみなすからです。
そのため、事業所得や譲渡所得のように、他の所得との損益通算はできません。
ただし、ビットコイン同士やイーサリアム同士など、同種の仮想通貨内では損益通算ができます。最終的に損失となった場合にはゼロとみなされます。
仮想通貨の位置づけはFXと類似する
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資金決済法や消費税法上での「支払手段」としての位置づけ、更には所得区分が雑所得として見解が発表されることなどから、国税庁としては、仮想通貨をFXと類似するものとみなしているように思われます。
正式な計算方法は国会の承認を得た税制改正を待つ必要がありますが、仮想通貨の税法上の考え方に悩む場合には、FXでの外貨の位置づけを思い出すと分かりやすいのではないでしょうか。(執筆者:鈴木 まゆ子)