もう衣替えはお済みでしょうか。めっきり秋めいてきましたね。
読者諸氏におかれましては、そろそろ年末年始の帰省・旅行の計画を立てておられるのではないでしょうか。
唐突ですが、学割(学校学生生徒旅客運賃割引証)を使いましょう。
もし飛行機やマイカーでのご移動でないのであれば、そしてお子さまがいらっしゃるのであれば、です。
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目次
「学割」は定期券だけじゃない!
運賃の「学割」と言えば、毎日の通学に使う定期券の割引がよく知られていますね。
会社が費用を出してくれる通勤定期に対して、格段に割り引かれているものの通学定期は自腹ですから、親御さんのお財布にやさしい制度です。
ですが、私が今述べようとしている「学割」は学割定期券のことではありません。
通常の乗車券の学割です。
あんまり知られていないのですが、JRなどでは101㎞以上の運賃には2割引の学割が適用されるのです。
例を挙げてみましょう
東京-横浜間
東京-横浜間は約29㎞です。ダメですね。
東京-水戸間
東京-水戸間は約121㎞。運賃は2,270円(ICカード不使用時)です。
これが学割適用で2割引になりますので、1,810円(端数の6円は切り捨て)となります。
460円のお得。「なんだそれだけか」と思わないでください。長距離でこそ威力を発揮する割引です。
東京-名古屋間
東京-名古屋間6,260円は5,000円となり1,260円のお得。
東京-新大阪間
東京-新大阪間8,750円は7,000円となり1,750円ものお得になるのです!
これがお子さま1人につき片道ごとに適用されるのですから、うまく使えば1万円近くお得に帰省や旅行ができるんじゃないですか?
なおこの割引は、運賃にのみ適用されます。
ですから新幹線のような特急でも、割引はあくまでも運賃部分のみで、特急券には適用されません。
ちなみにJRには片道601㎞の往復券で運賃が1割引される制度もあります。
これは学割とダブルパンチできるので、合計28%オフになります。
人によっては飛行機に乗りたくなるような距離なのですが。
誰が使える?
それではこの学割、いったいどんな人が使えるのでしょう?
JR東日本のホームページによると、「JRから指定を受けた中学・高校・大学・専修・各種学校の学生・生徒」とあります。
「指定を受けた」なんて言われると特別な学校だけなんじゃないかと勘ぐってしまいますが、そんなことはありません。
みんなが通っている、いわゆる学校です。
公立の中学高校はもちろん、通信制高校や放送大学の学生なんかも使えるようです。
小学生はそもそも子ども料金(半額)だから、学割はないんですね。
用途については「帰省」、「教育活動」、「受験」、「学校行事」などの仰々しいものが並んでいますが、「保護者の旅行への随行」でもOKです。
こうなれば、大体は使えると思って問題ないと思われますね。
そしてこの制度はJRだけでなく、東武鉄道や近畿日本鉄道などの私鉄や、高速バス各社、そしてフェリー会社でも扱っているところがあります。
特に法律があって旅客運輸業者が必ず用意しなければならないというものでもないようですので、長距離移動の際には、ぜひその会社に問い合わせてみましょう。
どうやって利用する?
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なかなかお得な長距離移動の「学割」なのですが、実はこの使い方がなかなか面倒くさい。
学生証を提示するだけじゃあダメなんです。(一部運輸会社では学生証だけでOKなこともある。)
何が必要なのかというと、「学校学生生徒旅客運賃割引証」、略して「学割証」です。
これを在籍する各学校の事務室などに申請し、受け取らなければなりません。
この割引証には、学年や生徒の学年を記入する欄があり、また有効期限は3か月となっています。ですから、帰省のたびに学校にお願いして手続きをすることに、なります。
大学などでは自動発券機があることもあるようですが、低予算に悩む公立中学高校にそんなものがあろうはずがありませんよね。ということは、これがなかなかのハードルです。
だって中学生に「アナタ、年末に帰省するから学割証を事務室でもらってきて」って言っても、「うちの学校の事務室って…どこ?」ってなりますよ。
普段は用がないところですから。見知らない事務職員さんにきちんと行先や旅行日を言えるかしら。心配です。
悩んだ末に(もしかしたら悩みもせずに)担任の先生にお願いして、余計なお仕事を増やしてしまいそうです。
実際の学校では「学割証」発行のための「学割証発行願」を保護者に書かせることも多いようで、こうなると手続きは1日じゃあ済みません。
ということで、帰省・旅行でも余裕をもった計画がお得を呼ぶことになるのです。(執筆者:徳田 仁美)