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老後への備えを、「今」お得にする仕組み
2017年に全国民が対象となり話題となった「個人型確定拠出年金(iDeCo)」。
「年金」ということで、「まだ先の話かも?」と思っていませんか。実は、たった今から家計をお得にする制度でもあるんです。
「確定拠出型年金」とは
「確定拠出」は、「確定給付」の反対です。従来の年金は国や企業が将来の「給付額」を確定させて給付してくれました。掛け金を運用し、足りない分は補って給付していたのです。これが「確定給付型年金」です。
しかし、それでは国や企業に負担となってきました。そこで、誕生したのが「確定拠出型年金」です。
という制度です。
国としては、普及するのが望ましいので税制面で優遇処置を設けており、そのため加入時から節税につながります。
毎年の所得税がお得です
所得税は、収入からいろいろな所得控除を引いて、課税所得金額が決まります。個人型確定拠出年金(iDeCo)を利用して金融商品や保険にお金を払った場合、その掛金が全額所得控除の対象です。
年27万6,000円の掛金を払うケース
年27万6,000円は企業にお勤めで、勤め先に確定給付企業年金がないケースの拠出限度額です。
所得税率が20%の場合、年27万6,000円が課税対象から外れるので、
所得税が5万5,200円安くなります。
「小規模共済等掛金控除」
正確には、この掛金は「所得控除」の中の「小規模共済等掛金控除」を受けることです。
個人型確定拠出年金(iDeCo)で掛金を支払うと、毎年10月に「小規模企業共済等掛金払込証明書」が国民年金基金連合会から送られます。その時から毎年、所得税の節税ができるのです。
なお、個人型確定拠出年金(iDeCo)は加入中に国民基金連合会などに手数料を払いますが、所得税を納めている人はそれを差し引いてもお得になることがほとんどです。
ただし、専業主婦など所得税を納めていない人は損得が微妙です。
運用益が「非課税」です
何の節税策もとらないでいると、金融商品の運用で得た利益には税金が掛かります。
所得税(復興特別所得税含む)と住民税を合わせて20.315%が、税金として引かれます。1000円の利子・配当などがあっても、手元に残るのは800円弱です。
個人型確定拠出年金(iDeCo)を利用すると、利子や配当などの運用益についても非課税扱いです。
低金利が続く中、これからは貯蓄だけでなく投資も必要だと言われています。せっかく勉強して投資で利益を上げられるようになっても、2割近く税金に持っていかれるのは痛いです。
特に長期でじっくり運用したい場合には、個人型確定拠出年金(iDeCo)の利用を検討するべきでしょう。
上限額とコスト
個人型確定拠出年金(iDeCo)は、加入中に国民基金連合会や取扱金融機関などに手数料を払わなくてはなりません。最低でも2,000円は掛かります。
ただし、所得税を納めている人なら、手数料などのコストを差し引いてもお得になる場合がほとんどです。
掛金の拠出額には上限がある
最も高額なのは国民年金のみに加入している自営業の人が年間81.6万円です。
最も低額なのは従来型の確定給付型企業年金がある人で年14.4万円です。
この間に、現在の年金の加入状況に応じて何通りかパターンがあります。
専業主婦の場合
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個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入できますが、所得税を納めていないと所得税軽減のメリットは期待できません。
運用面で手数料コストを上回れば検討してもよいかもしれませんが、その場合は、投資利益を非課税とするNISAや積立NISAと比較した方が良いでしょう。
将来に向けての資産運用を、個人型確定拠出年金(iDeCo)やNISAなどで国が後押ししてくれています。積極的に使わせていただきましょう。