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貯蓄の基本は借金がないこと
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貯蓄の基本は借金がないこと、これは貯蓄に関心の高い皆さんには周知の事実だと思います。
借金と聞くとカードローンやサラ金と呼ばれる消費者金融でお金を借りていることだと思いがちの若い人は多いでしょうが、家電ローン、自動車ローンに加え、住宅ローンも立派な借金です。
さらに加えるのであれば、最近はやりのスマートフォンの機種代の毎月分割での支払いも厳密に言えば「分割」という名の借金です。
壊れたり、その期間使わなかったりした場合には全額もしくは違約金を払う契約になっています。そしてもう一つ、多くの人が借金の意識なく借りて背負っているものが、奨学金の返済義務です。
我が子に奨学金を安易に受け取らせるのは、借金を背負って社会人生活をスタートさせること
親自身には借金がなくても、高等教育に進む我が子に奨学金を安易に受け取らせるのは、借金を背負って社会人生活をスタートさせることにつながる場合があります。
親子ともに自覚があるならいいのです。その覚悟をしてでも受けたい教育を受けて、それを上回る収入や喜びを謳歌できる可能性のために奨学金を活用することは大事です。
けれど、親も子も「借金」の自覚なく、奨学金に頼ってしまったら、子どもの社会人生活は借金からのスタートです。
奨学金を受ける際は未成年のことが多く、連帯保証人は通常親となるため、子が返済の見通しをうまく立てることができなければ、その借金を親が背負うことになります。
実際に、私の周りでも親が奨学金を返済しているケースもあります。そうなると親の老後も不安になってきます。
奨学金は「高等教育への準備」のコラムにも書きましたが、
・ 成績が下がるにつれ、給付ではなく貸与になる
・ 無利子ではなく有利子になる
といったかたちで、条件が変わってきます。
給付であれば返済の必要がないので、借金という心配はありません。
でも、奨学金というネーミングにつられて貸与される奨学金を安易に借りてしまうと、ただの借金ということを親子ともどもご認識ください。
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子ども主体で手続きを一緒に行っていきましょう!
子どもが自立していく過程では、口座開設、クレジットカードの契約、健康保険証の交付などたくさんの親の家計との切り離しが必要になってきます。
まだ開設や契約で親の許可や庇護が必要なうちに子どもに対し、マネー教育をしていくことは親の老後の経済面からみても重要です。
そのためにはまず、親がしっかりと金融知識を持っていなくてはなりません。
・ 国民年金
・ クレジットカード
携帯電話を持つようななったころに一度、しっかりと親子で学びましょう。
大切なポイント
勝手に契約してあげて、勝手に払ってあげるなんて論外です。
子どもにお金の流れを確認させることが、将来自立した家計を管理できるようになるポイントです。
手間でもなるべき子どもが主体で、一緒に行うようにしましょう。
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親が「国民年金」を立て替えるメリット
国民年金を納める場合は親が立て替えるほうが節約に通じることもあります。
収入がない学生であっても20歳になると原則として、国民年金に加入し保険料を納めなければなりません。
学生納付特例を利用する場合
20歳以上であっても所得が一定以下の学生については申請することにより、学生納付特例といって在学中の納付が猶予される制度があります。
学生納付特例制度の承認を受けている期間は、保険料の支払いをしていなくても保険料を支払ったものとして扱われ、障害が残ったときに障害基礎年金を受け取ることができます。
ただし10年以内に追納しないと年金額に反映されず将来の年金額が減額されることと、追納の場合3年度目以降は保険料に加算額が上乗せされること、年度毎の申請が必要であることに注意が必要です。
猶予分は後で保険料を支払わなければならないということを、きちんと事前に子どもに伝えておくべきです。
借金ではありませんが、借金を支払うことと同じ仕組みではあるからです。
きちんと加入することが大切
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国民年金は老後のためだけの備えではなく、病気やケガで障害が残ったときや、収入を支えていた方が亡くなったときの保障もあります。
何も手続きのない状態では障害年金を受け取ることができない可能性もありますので、まずは加入手続きを行い、払えない場合は学生納付特例の申請の手続きを行うことが大切です。
3年度目以降の追納
3年度目以降の追納は支払額が高くなるため、子どもの負担を少しでも軽減してあげる余裕があるのであれば、立替払いもできます。
収入が高く所得税率の高い親の場合は、親の社会保険料控除で戻ってくる税金が多くなるため、結果として節税につながるメリットもあります。
また、保険料を一括で前納すると保険料は安くなります。
ただし、親が代わりに国民年金保険料を支払う場合には、将来を考えて本来支払うべき子どもに対ししっかりと説明し、子どもが収入を得るようになったときに分割で返済してもらうなどの取り決めをするなどしてもよいでしょう。(執筆者:小柳 結生)