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日本ではまだ浸透していない投資信託の特性
以前、
と申したところ、「それが分かったら株で大儲けできる」との意見をいただいたことがありました。
同様の考えをお持ちの方もいまだに多いようなので、投資信託という商品自体の特性が、まだ日本国内に浸透していないようです。
そこであらためて、投資信託の正しい使い方について記しておきたいと思います。
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株式と投資信託は全くの別物
まず、株式と投資信託は全くの別物です。
株式で選ぶのは「会社(企業)」であり、投資信託で選ぶのは「資産」です。
20年先、30年先も成長を続けているような「会社」を見つけることは至難の業でしょう。
これまでも、多くの有名企業が倒産してきました。
これから数年先まで儲かるような会社であれば、財務諸表を分析したり市場動向を確認することで見つかるかもしれません。
しかし、20年以上も先となると、社長だって交代しているでしょうから、予言者並みの芸当です。
投資信託で選ぶのは「資産」
一方、20年先、30年先も成長を続けているような「資産」でしたら、見つけるハードルは下がってきます。
例えばアメリカの株式。個々の企業で考えてみると、かつて隆盛を誇った大手自動車メーカーが衰退するといった場面がみられます。
しかしその代わりに、IT企業が台頭して株式相場全体をけん引しています。
このような新陳代謝が行われることで、アメリカの株式という「資産」は成長を続けています。
リーマンショックのような大暴落が起こることもありますが、現在でも数年をへて最高値を更新しているものもあります。
もちろん、この先もアメリカの株式が成長することを確約することはできませんが、少なくとも個々の企業を探すよりもずっと楽であることは理解できるはずです。
投資信託を選ぶ際には「投機的な考え」は捨てよ
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個別企業の株式を購入することと、株式投資信託を購入することを一緒くたにして考えている人も見られますが、実は次元の異なる投資なのです。
どちらかと言えば、個別企業の株式購入は短期~中期投資向き、株式投資信託の購入は中期~長期投資向きであると考えられます。
そのため、投資信託を選ぶ際には、「今が底値だ」、「今すぐ値上がりそう」、「もう少し値下がってから買おう」といった投機的な考えを捨てたいものです。
そのような考えで投資をしたいのであれば、個別企業の株式を購入した方がよっぽど効率的です。
逆に、「一時的に暴落しても、長い目でみて成長しそう。育てよう」といった姿勢が基本となります。
短期的な損得にとらわれず、じっくりと資産をあたためるために投資信託を活用しましょう。(執筆者:小山 信康)