現在、働き方改革が推し進められています。
今後は働き方も、テレワークや在宅勤務など時間や場所に とらわれない「多様な働き方」が注目されています。
そこで、今後増えてくるであろう在宅勤務における最低賃金の適用地域について考えてみたいと思います。
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目次
最低賃金には2種類あります
最低賃金には、「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」があります。
「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の両方の最低賃金が適用される場合は、高い方の最低賃金が適用されるというものです。
「地域別最低賃金」は、各都道府県内の事業場で働くすべての労働者と使用者に対して適用される最低賃金で、都道府県ごとに定められ、事業場がある都道府県ごとに適用されます。
また、「特定最低賃金」は、特定の産業について設定されている最低賃金となります。
最低賃金は事業場ごとに適用
最低賃金は、事業場ごとに適用を受けることになります。
それでは、在宅勤務者の場合、事業場はどこになるのかという点が問題になるかと思います。
在宅勤務者の場合、事業場をどのようにとらえて考えるかですが、在宅勤務者が仕事をする自宅は、通常、日常の生活などの私生活を営む場所であるために、事業場というにはなじまないでしょう。
このように、在宅勤務者が自宅で仕事をしているということは、在宅勤務者が所属している会社を本来の事業場とし、その事業場の外で仕事をしているといえるでしょう。
このことから、在宅勤務者の自宅を事業場とは考えず、所属している会社を事業場と考えることになり、会社の所在地の最低賃金が適用されることになります。
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例
会社は東京(他にその会社の事業場がない場合)で、在宅勤務者として沖縄の方を雇用していても、東京の最低賃金を適用されることになります。
在宅勤務をされている方は、ぜひ最低賃金をチェックしてみるとよいでしょう。(執筆者:社会保険労務士 高橋 豊)