個人の投資家にとっては楽しみな3月末権利確定日が近づいてきました。
書店には「お得な株主優待ランキング」などの本が並び、ネットでは数多くのサイトが存在します。
これから株主優待を目的に初めて株式の購入を検討されている方も多くいらっしゃると思います。
そこで今回は株主優待銘柄を購入するにあたって株式投資初心者の方が注意すべき点をご紹介したいと思います。
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目次
株主優待とは?
上場企業が現金による配当金とは別に、権利確定日に株主に対して自社の商品や金券などを送るサービスのことをいいます。
個人株主にとってお得感がある株主優待の内容はいろいろですが、自社の商品や、自社の店舗で使える優待券・割引券を配るケースが多いようですが、事業内容と全く関係ないものを配るケースもあります。
業種別では交通・食品・外食産業・サービス業などは株主優待を実施している企業の割合が高く、製造業などでは実施率は低いようです。
株主優待を導入する企業は増加傾向で最近のデータでは35%を超え約1,400社が実施しています。
株主優待を実施している企業にとって優待を受け取った株主は長期保有の安定株主になることが多く、そのまま自社の商品やサービスを利用する事によって顧客になることもあるため、企業側にもメリッがあるようです。
株主優待を受けるには
(1) 権利確定日に株式を保有していること
株主優待をもらうためには企業の決算日に株式を保有していることが条件ですが、例えば今年の3月末決算企業で言えば3営業日前の3月27日(火曜)に株式を購入していれば権利があります。
極端に言えば3月28日に売却したとしても株主優待を受ける権利はあります。
(2) 株主優待の条件などをチェック
株主優待がもらえる条件についてチェックが必要です。
株式の購入の最低単位は多くの場合100株ですが、最低単位が100株であったとしても優待の対象が100株とは限らず、「優待の対象は1,000株以上」という事もあります。
また100株でも500株でももらえる株主優待が同じ場合や株数に応じて5倍になることもあります。
ほしい株主優待は何株保有すればいいのか確認し、くれぐれも使いきれないような株主優待が届くようなことがないようにしたいものです。
株主優待で注意すべき点
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今回最も強調したいのは、株主優待の商品やサービスなどが注目されがちですが、投資する企業の業績や財務内容を必ずチェックすることが必要、ということです。
2010年に破たんしたJALは業績は悪化していましたが、直前まで正規料金が半額になる株主優待を実施していたため普段から飛行機を利用する事が多い方などが株主優待目当てで投資していた株主が多く存在していました。
想像もしなかったかつては国が全株式を保有し「国営企業」のイメージが強いJALの経営破綻によって株主優待どころか株式自体が「紙くず」になってしまいました。
企業側にもメリッがある株主優待ですが、将来にわたって約束されているものではなく実施するかしないかは企業が株主総会ではなく取締役会で決定すれば条件を変更したり、極端に言えば「今年で株主優待は終了」ということもありえます。
(2) 権利確定前後には株価は大きく変動しやすい
今年の3月決算企業の権利確定日は前述のとおり3月27日ですが権利確定までは株価は上昇傾向、逆に3月28日には売却しても権利が確定していることから株価は株主優待相当額以上の値下がりになることもあります。
あくまでも株式投資は企業の業績や財務状況を見て長期的な視点で投資することが基本です。
株主優待は不利な条件変更や終了することになっても安心して保有できる株式投資を心がけ、もらえればラッキーな「おまけ」程度に考えるべきではないかと思います。(執筆者:後藤 誠道)