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有望な不動産活用「民泊経営」
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アパートなど貸付物件の供給過剰(相続税対策などが原因ですが)により、不動産投資は違った形を模索しないと損をする時代になりましたが、有望な不動産活用としては民泊経営があります。
平成30年3月15日より、住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく民泊事業の申請・登録の受付が開始となりました。
年間営業日数180日までなどの条件を満たせば、この新法に基づく届出により民泊を行うことができます。
不動産を活用して生じた所得を申告する場合、通常は不動産所得に該当しますが、民泊は原則異なりますので、デメリットを含めて見ていきます。
不動産所得にあたる貸付事業との違い
民泊事業を行うには、いわゆる不動産貸付のように人を住まわせるのではなく、外国人観光客などを宿泊させるのが民泊ですから、不動産貸付とは異なる事業としての側面があります。
民泊新法では民泊は住宅宿泊事業の扱いですし、年間営業日数180日を超えるような場合は、旅館業許可を必要とする場合があります。
国税庁が公表しているタックスアンサー
「No.1906 給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合」
において、民泊による所得は不動産所得ではなく雑所得と明記してあります。
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理由付けとして
という事業としての側面を説明しています。
このタックスアンサーはサラリーマンの副業を想定していますので、本業として行っているのであれば事業所得に該当します。
雑所得に該当する場合のデメリット
事業所得に該当する場合は、下記に述べる点は不動産所得と変わらないのであまり気にする必要は無いのですが、サラリーマンが副業でやって雑所得に該当する場合が問題です。
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損失を給与所得などの他所得と相殺できない
不動産貸付で所得計算した結果、損失を出した場合は、他の所得と相殺(損益通算)でき所得税・住民税の軽減になります。
給与所得からは通常所得税が徴収されているため、不動産損失と相殺すると還付が見込めます。
ただ給与所得などと損益通算できるのは、
・事業所得
・山林所得
・譲渡所得(居住用財産の譲渡損失)
に限定されます。
雑所得は損失が出ても給与所得との相殺はできません。
なお、民泊以外に副業していて雑所得が生じている場合は、その雑所得との内部通算は可能です。
また上記4種類の所得は、3年間の損失繰越も可能です(不動産所得・事業所得・山林所得は青色申告の場合のみ)が、雑所得は3年間の損失繰越も不可です。
計算事例で見る
・給与年収1,000万円
・不動産所得△30万円(損失)
・社会保険料控除などの所得控除160万円(所得税率が20.42%)
のケースであれば、給与所得と不動産所得(損失)を相殺して、所得税・住民税6.5万円程度引き下げの効果があります。
30万円の損失が不動産所得で無く雑所得の場合は、この引き下げはありません。(執筆者:石谷 彰彦)