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そもそもの金融機関における違いは
過去において、金融機関はターゲットとする取引先の規模等によって棲み分けがなされていました。
メガバンクは大手上場企業や、中堅中小企業向け融資をターゲットとし、一方の地銀信金は、地場の中小零細企業や個人向け取引を中心としてきました。
要は貸せる資金量が大きく異なり、各々が違うマーケットで展開をしてきていました。

現在の各金融機関の動き方はどうか
しかし、現在においては日本国内における資金需要そのものが減少しており、各金融機関が従来の垣根を越えて融資先を探している状況です。
つまりメガバンクが個人向け取引に注力し、その一環で消費者金融会社を傘下に入れるような動きも見られます。(〇〇銀行グループの〇〇ローンといった具合です)
一方で、地銀、信金は本来最も強い地盤を持っていた地方都市経済の衰退があり、同地で商売を広げていくことが厳しくなってきています。
そのため、地銀の東京支店等に経営体力を注力して、大手法人への本格参入を進めている状態です。
つまり従来まであった金融機関ごとの特色が薄まってきているというのが現在の実情なのです。
こうした環境下におけるメガバンク、地銀信金の個人向け融資の違いを探っていきます。
個人向け融資についてのメガバンク、地銀信金の違い
個人向け融資については、住宅ローン、賃貸不動産等を建てる際のアパートローン、個人として起業する際等の事業性融資がほとんどです。
この点についてメガバンク、地銀信金の大きな違いは借入金利条件にあります。
借入金利は「基準金利 + 利鞘」で決定します。
この基準金利にメガバンク、地銀信金の違いがあります。
基準金利 = TIBOR(0.04%程度)+ 利鞘
【地銀信金】
基準金利 = 短期プライムレート(1.475%程度)+ 利鞘
要は預かっている預金の資金量が大きいメガバンクはTIBORという低レートの基準金利を使い、一方の地銀信金は短期プライムレートを基準としています。
借入金利についてはメガバンクに優位性があります。
しかし「メガバンク = TIBOR」、「地銀信金 = 短期プライムレート」と完全に固定化されている訳ではありません。
個人の方が借入を希望する際には「他行からTIBORでの融資提案が来ているが…」といった他行競合条件をちらつかせて、本命の銀行からTIBORを基準金利とした金利条件を引き出す必要があります。
(なお、住宅ローンについてはこうした基準金利をも超越した低金利合戦が繰り広げられており、もはやメガバンク、地銀信金でも大きな差異はありません。これらより一段金利の低いネット銀行の利用が一番メリットが高いです)
総括
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現在は銀行ごとに競争の激化によって、従来あった垣根を飛び越えて各金融機関が融資先を探しています。
この状況下で、最も大きい融資条件の違いは金利設定にあります。
個人の方が借入を検討するにあたっては、自身にとって一番使い勝手のよい銀行からTIBORを基準金利とした借入条件を引き出せるか、に尽きます。
上記のような他行競合を使って、少しでも有利な条件での融資を引き出してみましょう。(執筆者:松野 のりこ )