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賃料、それともローン?
最近では、首都圏を中心として不動産価格の上昇が続いていると報じられています。
こうした中で、今は賃貸マンションに住んではいるけれど、賃料を払うのも、ローンを払うのも金額に大差はないので、資産形成の意味も含めて不動産を購入しようかと検討している方も多くいらっしゃいます。
銀行から見た際に、今不動産は果たして購入すべきタイミングなのでしょうか?

不動産融資の歴史
銀行においては、2年ほど前までは積極的な不動産融資を行ってきました。
これは相続対策に向けた賃貸用マンションの建設、購入融資等の増加によります。
銀行は融資残高を伸ばす必要があると、不動産融資を積極化する傾向があります。
ここ30年でみると、1990年初頭のバブル期も、そしてようやく不良債権処理が終わり、新たな融資先を求めたミニバブル期も、そして0金利状況での近年もいずれも不動産融資を増やす事で銀行としての融資残高を維持してきていたのです。
そしてバブル期もミニバブル期もいずれも最終的には不動産価格が暴落しているというのが過去の歴史なのです。
では、最近の不動産について銀行はどう見ているのか
銀行では2017年ころから、不動産融資に対してブレーキを踏み始めています。
行き過ぎた不動産向け融資に対してアラームが鳴り始めて、銀行内における審査基準を厳しくし、不動産融資を抑えています。
現在の不動産価格は過去のバブル期並みとなっていますが、普通に考えれば人口自体は減っている中であり、明らかに過熱しすぎている状態なのです。
銀行の取引先である資産家はどう動いているのか
結論、不動産の売却に出ています。
資産家のみなさんも現状が不動産価格のピークと見ており、保有不動産の売却を進めている状態です。
但し売り方としては、とにかく売却を急ぐといった姿勢ではなく、市場の価格より少し高めの価格で売り始めて、交渉の中で多少の値引きを折り込ませながら、時間をかけてもよいから、高めの価格で売却しようとしています。
そして、次の不動産価格が暴落したタイミングで、不動産をまた新たに買い直そうというスタンスです。
総括

不動産については今がピークですが、何もピーク時に購入することはありません。
日本人は投資がうまくなく、価格が上がったタイミングで買い、価格が崩れると売るという傾向があります。
正しい投資家はその逆の動き方をするのです。
不動産で言えば、いずれ(オリンピック前か、その後か)のタイミングで大幅に不動産価格が下落するというシナリオが一般的です。
ですので、現在賃貸物件にお住まいの方にとって、現在は急いで自宅を購入するタイミングではないのです。
あと数年は賃貸での生活を続け資金をためます。
そして、しかるべき不動産価格が落ちたタイミングであらためて新居購入を検討する、というのが最適なシナリオなのです。(執筆者:松野 のりこ)