結婚後、さまざまな夫婦のお財布(共同財産管理)の形があります。
日本は「夫が給料を渡し、妻が家計を管理する」というスタイルが多いかもしれません。
「小遣い制で、夫は給料の全額を渡す」という家庭もあります。
では、中国ではどうでしょうか?
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目次
基本、夫婦別々の財布の中国
中国では結婚しても、多くの人が共働きです。
お金をたくさん稼ぐことが重要視されているので、家事のために仕事をしない専業主婦は少数派。
女性は親族や周囲の人から子供を産んだらすぐ、仕事をするように勧められます。
そのため、(地方出身者は特に)仕事のために夫婦が別の場所で暮らすこともよくあります。
例えば、子供は田舎の祖父母と暮らし、妻は深圳、夫は上海で別々に仕事。
子供と親にそれぞれ仕送りをして、自分たちは仕事に専念したりします。
別々の場所に暮らしているので、お財布は当然、別です。
それぞれが自分の家賃・光熱費・食費を支払います。
独身のように自分が稼いだ分は自分で、自由に使っている人も多いです。
夫婦共通の支払いといえば、毎月の子供の養育費です。
お財布事情に影響を与える高齢の親たち
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さらに、「孫の面倒は祖父母がみる」という習慣も影響しています。
おじいちゃんおばあちゃんたちも以前、自分の子供の世話をさせてもらえなかったので、「今度こそ私が孫を世話したい」という気持ちや、孫の面倒をみて、養育費としての副収入を得たいということもあるようです。
結婚5年、でも一度も一緒に暮らしたことがない!?
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仕事を優先させているので、結婚してから一度も(あるいは数か月しか)一緒に暮らしたことがない夫婦もいます。
私の友人は、ホテルに住み込みで働いていますが、結婚して5年、一度も夫と暮らしたことがないそうです。
互いに会うのは、1、2か月に1度の休みの時だけ。
結婚後は、ホテルのそばにアパートを借り、夫はそこに戻ってきますが、休みの時だけです。
子供は祖父母に預けているので、年に数回しか会えません。
いつも送られてくる子供の動画や電話で話すのを、楽しみにしています。
また、友人の20代半ば女の子は、結婚していますが、自分で店を持っているので、別の仕事を持つ夫とも、田舎にいる子供とも一緒に暮らせないと話していました。
21歳で結婚して子供を産んだ後は、彼女の両親が子供の面倒を見ているそうです。
休みの日は、友達とランチや観光地に遊びに行って、SNSでリア充アピールをしています。
結婚しても、独身のような華やかな生活は変わりません。
お財布事情から浮かび上がる、社会背景
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日本もお父さんが単身赴任で、妻子と別に暮らすことはよくありますが、中国では家族みんなバラバラに暮らしていることが珍しくありません。
こうした背景には、都市部と地方の出身地格差も大きく影響しています。
「家族よりも、まずお金を稼ぐことが第一」という社会的な価値観が、夫婦のお財布事情に影響を与えています。(執筆者:桜井 まき)