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リスク軽減に有効な「資産分散、長期投資、時間分散」
資産運用の世界では、「資産分散、長期投資、時間分散を行うと良い」とされていますが、なぜでしょうか?
それは「リスクを減らすことができる」からです。
資産運用の世界では「リスク = 危険」ではありません。
リスクとは「収益の変動幅」のことをいいます。
つまり、リスクを減らすために有効なのが、「資産分散、長期投資、時間分散」の御三家というわけですが、どうもイマイチ世間に普及していないような…
よく、「この3つを一気に担保できるのが、投資信託のつみたて」と言われますが、日本の場合、投資信託の平均保有期間も、約2.5年とアメリカの約半分程度と短くなっています。
ここには、元々日本人投資家の「短期志向」といった要因もあると思いますが、販売者側の短期売却推奨、乗り換えアドバイスなども影響していると思います。
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「長期投資」、「時間分散」が普及するには?
そこで、本当にリスクを減らすために、投資信託の「長期投資」、「時間分散」を普及させるにはどうすればよいでしょうか?
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それを考える場合、まずは「投資信託そのもののコスト高」の問題解決は、避けて通れないと考えています。
金融庁のまとめによりますと、日本とアメリカの投資信託(純資産額上位5商品)において、販売手数料はアメリカの平均0.59%に対して、日本は3.2%となっています。
またFPとしては、ここが大きいと思っているのですが、「信託報酬」というコストについてです。
「信託報酬」はアメリカの年率平0.28%に対して、日本は1.53%となっています。
なぜ、ここが大きいと思うかといえば、「信託報酬」は、入り口の手数料と違って、保有している間、継続的に徴収されるコストだからです。
つまり、長く保有する=「長期投資」するために、非常に重要視されるべきコストだということです。
このあたりの見直しがなければ、真に長期投資志向への転換は進まないと考えています。
「ドルコスト平均法」のメリット
また、「時間分散」の具体的手法である「つみたて」の普及に関しては、やはり「ドルコスト平均法」のメリットを実感してもらう(金融機関側からは情報発信する)のが良いと思います。
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「ドルコスト平均法」とは、価格が変動する商品を、毎月一定額で継続的に購入する投資手法です。
「購入金額を一定に保つ」ことで、価格が高い時には、購入量が少なくなり、価格が低い時には、購入量は多くなります。
スタート時に1万円投資し、基準価額は、2か月目に8,000円、3か月目に1万3,000円、4か月目に9,000円と基準価額が推移した場合、基準価額が下がった分、1万円で購入できる口数はそれに応じて多くなります。
4か月目のトータル購入口数は、4万1,303口となり、1万口当たりの平均取得金額は9,684円です。
それに対して、
1万口当たりの平均取得金額は、言わずもがなの1万円ですから、「ドルコスト平均法」のメリットを理解頂けると思います。
つまり、「ドルコスト平均法」は(すべての局面で有効な手段とは言えないことも理解しなければなりませんが)、著しい高値で買ったり、反対に安値で売ったりすることを防ぐ方法として、有効な手法といえるでしょう。
現実に、日経平均株価に連動するインデックス型投資信託を「1998年から20年間、月1万円ずつ購入」すると、単純計算で資産は約8割増える計算になります。
まとめ
このように、インフレ、超低金利下において、資産運用の必要性が叫ばれる中、投資信託の「長期投資」、「時間分散」をうまく活用してリスク低減を図ってほしいと思います。
そのためには、運用する側(顧客側)の意識にしても、金融機関側の販売スタンスや商品ラインナップにしても、真剣に考え直さなければならない要素があると思います。
弊社、筆者としても、コンサルタントとして、ファイナンシャルプランナーとして、今後もでき得る限りの情報発信等をして行きたいと思います。(執筆者:阿部 重利)