子供たちが独立した後、1人暮らしとなる人は増えてきています。
身内が遠方に住んでいて近くに頼る人がいない場合、将来に不安を感じる人もいるのではないでしょうか。
いつ自分が介護の必要な状態になるとも限らない状況で、最も心配なのがお金のことです。
そこで、今回は将来のお金のことを元気なうちから決めておく「任意後見契約」を紹介します。

目次
任意後見契約とは
任意後見契約とは、将来何らかの理由で判断能力が落ちた時のために、事前に後見人を決める契約のことです。
申し込み時点で契約などの複雑な判断ができる人のみが利用できます。
任意後見契約を結んだからと言って、すぐに後見人に全てを任せるわけではありません。
病気などで自分の判断能力が衰えて自分では正常な判断ができなくなった時に、事前に決めた内容を後見人が行うようになります。
後見人に任せる内容については、特に決まりがないため、契約者と後見人の間で自由に決めることができます。
ただし、結婚や離婚、養子縁組などについては契約に盛り込むことはできません。
任意後見契約の流れ
任意後見契約では、まず後見人になってもらう人を決める必要があります。
後見人は自分が信頼できる人であれば誰でも指名することができます。
具体的には、身内や友人、弁護士や司法書士などの専門家がよいでしょう。
また、法人でも後見人になれるため、社会福祉協議会やリーガルサポートセンターなどに頼むことも可能です。
後見人を決めたら、公証人役場に行き公正証書を作りましょう。
作成時に必要になるのは、発行後3か月以内の印鑑登録書と住民票、戸籍謄本です。
後見人の場合、戸籍謄本は必要ありません。
公正証書の内容は東京法務局に登録されます。
そして、判断能力が衰えてきたら、後見人か親族等が家庭裁判所に申し立てを行い、任意後見監督人が選出されると、後見人が事前に契約した内容について仕事を行うことができるようになります。

任意後見契約の費用
任意後見契約にかかる費用は以下の通りです。
・ 法務局に納める印紙代 2,600円
・ 法務局への登記嘱託料 1,400円
・ 書留郵便料 約540円
・ 正本謄本の作成手数料 1枚250円
公証役場の手数料は、証書の枚数が4枚を超える場合、1枚ごとに250円が加算されます。
また、正本謄本の作成手数料は、謄本を作成する分だけ必要となります。
まとめ
私たちは、いつ何時介護になるかわかりません。
ですから、元気なうちに任意後見契約をしておけば、いざという時の備えになります。
特に、おひとり様には強い味方となることでしょう。
将来に不安を感じている人は、ぜひ任意後見契約を検討してみてはいかがでしょうか。(執筆者:中村 楓)