目次
ひと口に「扶養」と言っても…

・ 健康保険の被扶養者
がありますが、ここでは「健康保険の被扶養者」についてお話しします。
65歳未満で厚生年金に加入している配偶者に扶養される20歳以上60歳未満の人は、同時に国民年金の「第3号被保険者」となり、「年金の扶養」と呼んだりします。
ここでは健康保険と併せて「社会保険の扶養」ということにします。
社会保険の扶養に入るためには
という条件がありますが、この「年収」のとらえ方を誤解して質問を受けることが多々あります。
よくある誤解1:今年は収入があったから扶養には入れない?

年が明けてからでなければ、被扶養者の届けは出せませんよね?」
過去はどんなに高給取りであったとしても、退職して扶養に入るなら関係ありません。
扶養に入る日以降の収入は「0」ですから。
会社の退職証明書や、雇用保険の離職票など退職したことを証明する書類を添付して、今は無職であると認められれば、過去の収入を申告する必要もありません。
「あなたの過去など 知りたくないの」という歌詞がありました。これをご存じの方は前回の東京オリンピックのとき既に生まれていた世代ですね(余談ですが)。
よくある誤解2:パートの収入は年間トータルで考えればいい?

今年の後半になったら130万円に届かないように仕事をセーブすればいいんですよね。
年が明けたら収入がリセットされるのでしょう?」
「年収130万円未満」を年間トータルで計算するものと思っている方は多いですね。
実際はそうではなく、収入のある人の場合は被扶養者として認定される日以降の収入の見込額を年額換算して判定します。
具体的には、直近3か月の給与の平均を12倍して130万円未満であることが必要で、1か月平均10万8,333円以下です。
【例】
3月… 13万円
4月… 11万円
5月… 12万円
だった場合
13万円+11万円+12万円)÷ 3 =12万円
12万円×12か月=144万円
収入の基準を超えています。
なお、パート収入のある人について被扶養者の申請をするときは、直近3か月分の給与明細のコピーを添付するのが一般的です。
パートを始めたばかりで、給与明細が揃わない場合
雇用契約書等により、
・ 所定労働時間
・ 所定労働日数
などから1か月あたりの給与額が計算されます。
このとき、雇用契約の内容から、本人が社会保険の被保険者として適用されるべき人であると判断された場合は、本人が適用されるほうが優先されます。
その場合は、1か月10万8,333円以下(年収換算で130万円未満)であっても、本人が社会保険の被保険者として適用されれば、家族の扶養に入ることはできません。
また、被扶養者として認定された後も、健康保険の扶養実態調査で収入確認が行われます。
この調査は、全国健康保険協会(協会けんぽ)でも毎年実施されており、調査内容は健康保険組合のほうが厳しめの傾向があります。
調査票提出日の直近3か月間の給与額が高かった場合は、扶養から外されてしまうこともあります。
よくある誤解3:失業給付や、健康保険の傷病手当金は「収入」ではない?

会社を辞めて雇用保険の基本手当(わかりやすく「失業給付」といいます)を受給している人も、その失業給付を収入として扱います。
勤続期間が10年未満の自己都合退職で、90日分しかない失業給付であっても、年額換算して130万円以上となれば、その給付を受けている間は被扶養者として認定されません。
失業給付の場合は1か月30日、1年360日で計算しますので、
失業給付の日額が3,611円以下であることが認定基準です。
病気療養が長引いて退職し、家族の扶養に入る場合は、健康保険の傷病手当金を受給している間はその傷病手当金が収入として扱われます。
傷病手当金の年額換算も失業給付と同じで、日額3,611円以下であることが認定基準です。
失業給付も傷病手当金も、働けない間の収入を保障するものです。
非課税ですが、
と覚えておくとよいでしょう。(執筆者:服部 明美)
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