住宅ローン相談で最も多いのが、自分はどの程度まで借りることが出来るかというものです。
しかし、自分で試算しようにも、借入金利を変えるだけで、様々な金額が表示されます。
ここで有効なのが、金融機関が実際に融資審査で使う、「審査金利」の利用です。
今回は、この「審査金利」を利用し、適正な住宅ローン借入額を求める方法を解説します。
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目次
「貸出金利」と「審査金利」の違い
現在は、日銀のマイナス金利政策や金融機関同士の競争激化により、「貸出金利」は変動金利で0.5%台、固定金利で1.0%台まで低下しています。
では、金融機関がこの「貸出金利」の水準で審査しているかというとそうではなく、将来の金利上昇を見据えた「審査金利」で審査しています。
この「審査金利」は、公に公表されていませんが、4.0%と言われています。
つまり、実際の審査では、この4.0%が利用されているということです。
ただし、住宅金融支援機構が提供するフラットは、全期間固定金利で貸出時に返済額が確定するので、「貸出金利」と「審査金利」が等しくなっています。
また、住宅ローンの融資残高拡大に追われる一部の地銀でも、「貸出金利」と「審査金利」が等しくなっているという例外はあります。
年収600万円でシミュレーション
では、実際にシミュレーションして、「貸出金利」と「審査金利」で、どの程度の差が出るのか確認することにしましょう。
前提条件として、
・「貸出金利」は1.0%
・「審査金利」は4.0%
・年収は600万円
・返済期間は35年
とします。
「審査金利」4.0%の場合:借入可能額 3,952万円
「貸出金利」で試算すると、借入可能額は約6,000万円、「審査金利」で試算すると、借入可能額は約4,000万円となり、その差が約2,000万円となりました。
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シミュレーションは「審査金利」の利用を
実際に上記の数字をご覧になって、どのような感想をお持ちになられたでしょうか。
「貸出金利」1%で試算すると、確かに6,000万円の借入が可能という数字が出ますが、これは年収の10倍に相当する金額になり、オーバーローンと言わざるを得ません。
一方、「審査金利」4%で試算すると、借入可能額は4,000万円弱という数字になり、これは年収の6倍程度で、この辺りの借入が限界のように感じます。
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住宅ローンを勢いだけで借りてしまうと、後で取り返しのつかないことになります。
仮に、低金利のシミュレーション結果を不動産業者などから貰っても、必ずご自身で「審査金利」でのシミュレーションを行い、冷静に判断されることをお勧めします。
(金融機関では他にも個人信用情報や返済負担率を考慮しますが、今回はこれらの項目は考慮しておりませんので、予めご了承願います)(執筆者:1級FP技能士、宅地建物取引士 沼田 順)