タイトルをみて、「何を言ってるの?」と思われた方もいらっしゃることでしょう。
今回は、過去の金利推移データからみれば、変動金利がほぼ完全固定金利だったという事実をお話したいと思います。
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目次
変動金利の指標である短期プライムレートはほとんど動いていない
下図をご覧ください。
これは、多くの金融機関が変動金利の指標としている短期プライムレートの約20年強の金利推移をあらわしたものです。
※ 短期プライムレートとは、金融機関が優良企業に1年以下の短期で貸し出す際の最優遇金利のこと
どうですか?
ほとんど変動していないことがみてとれるでしょう。
短期プライムレートを変動金利の指標にしている金融機関は、この金利に+1.0%したものを変動金利の基準金利(店頭金利)としているのです。
だから、変動金利の基準金利(店頭金利)が2.475%という金融機関が多いのです。
実際に借りる際の金利が適用金利
でも、実際に借りる際の変動金利は文字通り変動してきています。
最近では0.4%台の金融機関まで存在します。どういうことか?
実際に借りる際の金利のことを適用金利といいます。
この適用金利は、次の式により算出されます。
この式からわかるとおり、適用金利が変動してきているのは基準金利が変動しているからではなく、優遇幅が変動しているからなのです。
この優遇幅というものは、各金融機関で独自に決めており戦略的に変動させたり、個別対応で変動させたりしています。
また、この優遇幅は借入時に決定された内容がずっと適用されます。
こんな勘違いをされてみえる方もたまにいらっしゃいます
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変動金利で借りたということは、世の中の金利が高くなれば金利が上がり、逆に金利が低くなれば金利が下がるということなのです。
変動金利の適用金利はどんどん下がっているので、自分の適用金利も低くなっているものと。
でも、これはまったくの勘違いです。
上記でお話したとおり、基準金利はこの20年強ほとんど動いておらず、そして優遇幅は借入時に決定された内容がずっと適用されます。
ということは御自身の適用金利は20年強ほとんど変わっていない、つまりはほぼ完全固定金利だったということなのです。
(もし、金利が変わっていたとすれば単に、優遇幅の内容が段階的に変わるようになっていただけのこと)
過去のセオリーが昨今では通じないのがほとんど
ファイナンシャルプランナーを名乗る方が、今でもこんな風にアドバイスしているのをよく見かけます。
将来の金利上昇リスクが高いですから」とか、長短金利差が今は非常に小さい。
安心料として払うにはいいタイミングなので完全固定金利で借りるのがベストです」
などと。
10年以上も前からこのように発信し続けている方さえいらっしゃいます。
でも、その結果はどうだったのでしょうか?
言い訳はいろいろ出てくるでしょうが、結果的には、「的を得ていないアドバイスだった 」 といわざるを得ません。
上記のとおり、変動金利はほぼ完全固定金利状態であり、そして長短金利差が低くなったとはいえ完全固定金利と変動金利とではまだ0.5%程度の差はあります。
仮に、当初3,000万円借入れたとして、多くの方が22~23年程度で完済していることを想定して計算しても、その安いとされる安心料でも約150万円程度は余分に支払っているのです。
あなたは、安心料としてこの金額が本当に安いと思いますか?
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最後に
勘違いなさらないでほしいのですが、決して変動金利のみを推奨している訳ではありません。
変動金利について確かに過去データでは上記のとおり、ほぼ完全固定金利状態で、結果論では一番お得で安心だったとは言えますが、これからの将来を確約できるわけではありません。
ですから、単純に変動金利がお勧めですとはならない訳です。
ただ、これまでの実績において、現況や将来見込み等をじっくりとお聞きしたうえで優遇幅の内容や金利タイプ変更に伴う条件、5年ルール、1.25倍ルールも確認したうえで変動金利をお薦めすることは多々ありました。
昨今の変動金利リスクは、多くの皆様が享受出来得るものになっているものと推察しております。
セオリー通りのアドバイスを鵜呑みにせず、個別判断することと借り過ぎに注意すれば、うまく利用できる方は当初の金利タイプとして変動金利は有利になるのではないでしょうか。(執筆者:小木曽 浩司)