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日本の「お金の流通・株式・投資に関する教育」
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モノが溢れている日本は、「お金に関する教育」を世界的にみると非常に残念なほど後進国です。
株式や投資について、親御さんなど身近な方がされていれば、子どもさん自身興味を持つことはありますが、知識として教えることは少ないです。
最近は若い方でも株式運用・投資信託の運用をしていたり、小学校高学年から「お金の学校」と称してお金についての教えてくれるところも少しづつ増えてきていますが、まだまだ少数派でしょう。
今回は中高生対象の「株式・投資信託」についてのカリキュラムなどを紹介しましょう。
海外と比べると日本の「お金の教育」
海外では、学校教育のカリュキュラムに組み込まれているか、小さい時から株を所有することで、自然と
「投資って何に役に立つの?」
と自然と覚えていくよう子供にお金に対する概念を教えていきます。
日本ではようやく「お金の教育」というものが必要であるということを金融庁も認めて、ガイドラインを設けていますが、なかなか全国の小中学校で指導が進んでいないというのが現状です。
1. お金に対する日本人と外国人との概念の違い
日本人のお金に対する考え方は
「失敗した時のリスクが心配で手が出しにくい」
「お金に余裕のある人しかできない」
と積極的に運用するのを怖がっている方がほとんどです。
日本人の昔からの考えで「お金を得るには汗水垂らして働くことが美徳」とありますが、今の政情や経済事情では、汗水垂らして働いても貯蓄ができないもしくはしにくいです。
そこで、「汗水垂らして労働したお金を、資産運用して増やしてあげる」という教育が小さい時から必要だとようやく気がついて、徐々に「お金に対する概念の教育」がスタートしました。
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2. 海外でのお金に対する教育は?
大富豪が多いと言われるアメリカやイギリスでは、早期から子どもへの金融教育が導入されています。
まずアメリカでは、10歳ぐらいの子どもが単元未満株どころではなく、本格的な株を持つことは珍しくありません。
実際に株を運用することで、経済状況や株の乱高下など身をもって勉強するという実践教育です。
アメリカ出身の有名な投資家の多くが、初めて株を持った年齢がほぼ10~11歳であると言われているので、株を運用することは経済学を同時に勉強することになるので、若くして大起業家が誕生するというのも不思議ではありまえん。
イギリスについては、国の教育法の中で中学生から金融に関する教育をすることが義務付けられています。
一般教養ということで、お金のことを勉強するという考え方からなのですが、株式・投資・経済学の知識を身につけさせるという国の教育方針は、日本人の発想では出てこないでしょう。
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日本での株式・投資に関する教育について
日本では、国の教育法には義務付けられておらず、金融庁から積極的指導をして欲しいとされていますが、授業数の問題、親からの反発などで、実現が難しい面はあります。
ですが、一部公立・私立(特に私立)の中高では、
「若いうちに経済を勉強する必要はある」
という考えから、
「お金に関する教育」を導入する学校が増えています。
1. 指導受け入れ先や授業内容などかなり豊富
指導をしてもらうのはもちろん「株・投資・運用」に長けたプロです。
大手証券会社の指導部や、証券取引所の教育部(大阪・東京両方あり)に学校が事前申し込みをして、受講対象人数や対象学年、学校で用意できるものなどを打ち合わせし実施しています。
私立校で導入が始まっているICT教育(タブレット端末などを用いた指導方法)では、指導日が決まれば、事前に生徒たちのタブレットに必要なアプリを入れる作業が行われます。
2. 実際の指導方法は?
例)証券取引所の方が行われた授業
1. 5~6人で1グループを構成
2. 指導される方から、株式についての説明や投資するとどうなるかという説明を聞く
3. グループ内で、
・ 投資家
・ 証券会社
などの役割を分担して、カード形式での株のやりとりをする
4. 役割について理解したところでロールプレイングゲーム開始
多くの会社や証券所で用いられるゲーム(紙ベースもしくはアプリ)の「ブルザ」を使って、世の中のニュースで乱高下する株の今後を予測して、株の売買を行うというゲームです。
ロールプレイングゲームでもかなりリアルなゲームで、株運用を知ってもらう指導を行います。
生徒さんからは、「お金の動きを知ることは面白い」という親御さん世代から考えられない感想が返ってきます。
お金を学ぶことは世界常識
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最近はグローバル化ということで仮想通貨の流れも出ていますが、その前にお金の運用の基本中の基本を学ぶことで、お金でのグローバル化が実現できると考えられます。
社会人となって就職したとき、英語がいくら堪能でも、お金に関する知識が育っていないと、英語での取引ができたところで株のチャートが読めないとそれ以上は何もできません。
小さい頃の知識の大切さ
海外では、若い世代でも
・ 一夜にして大金持ちになった人物
・ 大学時代から資金調達が上手で、一気に世界中が注目するお金持ち
などに、なっている人がいます。
それだけ、海外での「お金に対する教育」というものは実践的で、お金に対する概念も、「小さい時から知っておくべき」ということが強いために、今の日本の経済状態のようにぐらついたものではないのでしょう。
とても遅ればせながら日本も
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ようやく、証券会社で「こどもNISA」の取り扱いが始まり、お子さんが好きな会社の株式を買うことや投資信託を親御さんと証券会社の方とで相談して運用する商品が販売されました。
今までの日本のお金教育は、「見せてはならない世界」と扱われてきましたが、
「生活の安定のため」
などで、株式や投資の知識は必要という考え方に変わってきているのは事実です。
日本の法律ではまだ未成年が株運用をするのは難しい面はありますが、お子さんが小さい時からさまざまな金融商品でお金の運用を体験させてください。
自分で学費などを出す時代は近いでしょう。(執筆者:笹倉 奈緒美)