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離れて暮らす両親
親が年齢を重ねてくると、何かあった時のために扶養に入れておこうかと考える人もいます。
しかし、親を扶養に入れた場合にどのようなメリットとデメリットがあるかわからない人も多いでしょう。
また、介護が必要になった時の負担も心配です。
今回は別居の両親を扶養に入れた時のメリット・デメリットを解説します。
親が若く健康なうちはメリットがある

親が75歳未満で健康であれば、別居の両親を扶養してもメリットがあります。
なぜなら、扶養家族がいる場合には所得税の控除を受けることができるからです。
一定の条件を満たしていれば、控除される金額は別居の両親を扶養する場合で48万円です。
税金面での優遇は配偶者の親でも同別居に関わらず対象となり、大きなメリットとなるでしょう。
また、75歳未満で一定の条件を満たしていれば、健康保険の被扶養者制度の対象にできます。
被扶養者となると別居の両親は健康保険料の支払いがなくなるので、生活費の節約になります。
つまり、親が若く健康であれば扶養に入れておくことは、親子ともにメリットが大きいと言えるでしょう。
親が高齢になったり介護が必要なときにはデメリットの方が大きくなる
別居の親が75歳以上の場合は後期高齢者制度の対象になるため、医療保険の扶養に入れることができません。
また、介護保険の自己負担額は世帯全体の収入で決められるので、扶養にいれていることで介護費用の負担を減らすための制度を受けられないことがあります。
特に、高額介護サービス費支給制度や高額医療・高額介護合算療養費制度は世帯収入で上限額が決まっています。
親が75歳以上、もしくは医療や介護が必要な状態では、扶養に入れることはメリットよりもむしろデメリットが大きくなると言えるでしょう。

介護負担を減らすためには、親に介護が必要なら扶養はしない方が無難
離れて暮らす両親が不安な気持ちはほとんどの人が持っています。
心配だからと安易に扶養してしまうと、親と子の両方に介護の負担が重くのしかかる可能性が高くなります。
75歳未満で健康だけれども親自身の収入がわずかな場合には、扶養するとお互いに安心なうえに節約もできるので扶養するのも選択肢として加えてもよいでしょう。
しかし、介護が必要になったり、75歳以上になったら扶養はやめた方が無難です。
介護費用を軽減する制度を上手に活用し、お互いに介護負担が軽くなるようにすることで、無理のない介護ができ、別居の両親も安心して生活できるでしょう。(執筆者:中村 楓)