2018年度の最低賃金の引き上げについて、厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会は7月25日、全国の加重平均で26円上げるべきだとの目安をまとめました。
比較できる2002年度以降では最大の引き上げ額で、実現すれば全国平均は時給874円(引き上げ率3%)で決着しました。
今後はこの目安を参考に、物価や所得水準などの指標をもとに都道府県をA~Dのランクに分けて、
最も低いDランクの沖縄県等は23円アップの時給760円など
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都道府県ごとの実際の引き上げ額が決定され、目安通り引き上げ決定となればおおむね10月にも実施される見込みです。
小委員会の議論では、経営者側は「中小企業の経営は厳しい」として連続での大幅引き上げに反対しましたが、生活水準を底上げしたい労働者側は引き上げを強く要求しました。
安倍政権は2016年6月に閣議決定した「1億総活躍プラン」で、賃上げによる消費の活性化やデフレ脱却を目指すため時給1,000円を目標に掲げ、最終的には政権の意に沿った形で決着することになりました。
目次
最低賃金制度の概要
a. 最低賃金とは
最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、産業や職種、正職員・パート・アルバイト・臨時職員・嘱託など雇用形態にかかわりなく、使用者は、一部の特例的に除外(最低賃金の減額の特例)する労働者以外は、最低賃金額以上を支払わなければならないとする制度です。
b. 最低賃金の種類
最低賃金には、居住する都道府県別の最低賃金及び鉄鋼業や塗料製造業など従事する職種により特定(産業別)最低賃金の2種類の区分があります。
特定(産業別)最低賃金に該当すれば、使用者は高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。
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c. 適用される労働者の範囲
都道府県別最低賃金は産業や職種に関係なく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者に適用され、特定最低賃金は、特定地域内の特定の産業の基幹的労働者に適用されます。
派遣労働者には、派遣先の最低賃金が適用されることになります。
d. 対象となる賃金
対象となる賃金は毎月支払われる基本的な賃金(所定内給与)で、実際に支払われる賃金から所定外賃金(賞与、残業・休日割増賃金、家族・扶養手当、精勤・皆勤手当、通勤手当 等)を除いたものです。
最低賃金は時給で示されており、月給者や日給者も時給換算して最低賃金が支払われているかをチェックすることになります。
あなたも最低賃金のチェックを…
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まずはパソコンであなたの勤務地の最低賃金を検索してみてください。
地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金の2種類がありますから特定(産業別)の職種に該当する場合はいずれか高いほうが適用されます。
時給者 ⇒ 時間給
日給者 ⇒ 日給 ÷ 1日の所定労働時間
月給者 ⇒ 月給 ÷ 1か月の平均労働時間
・ 賞与、残業・休日割増賃金、家族・扶養手当、精勤・皆勤手当、通勤手当などの所定外給与を除いて計算してください。
大企業にお勤めの場合はほぼクリアできていると思います。
中小企業や個人商店にお勤めの場合は、「うちは中小企業(個人商店)だから」、「業績が悪いから」と言って最低賃金を払わない事業所も実際に存在します。
もちろんこのような理由は通用するはずもなく違法となります。(執筆者:後藤 誠道)