少子高齢化や離婚・未婚の親の増加などにより、最近は親と同居する現役世代が増えてきました。
また同居ではなくても、親に仕送りしている人もめずらしくありません。
ご自身の稼ぎで親を扶養している場合、見落としたくない控除制度があります。
それは「扶養控除」です。
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目次
「扶養控除」が使える扶養対象は、子どもだけではない
「扶養控除」と聞くと、多くの方が
と答えます。
中には
と誤解している人も。
扶養控除制度は、平成22年度の税制改正で大きく変わっています。
確認も兼ねて、ここでざっくりと現在の扶養控除制度の「扶養対象」にカウントされる人の要件を開設します。
扶養控除制度の扶養対象となる人
その年の12月31日(今年だと「平成30年12月31日」)(※)において、次の(1)から(4)のすべての要件に当てはまる人が扶養控除の扶養対象としてカウントされます。
(2) 納税者と生計を一にしていること。
(3) 年間の合計所得金額が38万円以下であること。
(4) 青色申告専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けておらず、白色申告の専従者でもないこと。
(3) の「生計を一にしている」ということは、一つのお財布で生活のやりくりをしていることを言います。
つまり、別居していても、子どもの仕送りで親が毎日の生活を成り立たせているなら、その子どもと親は「生計を一にしている」と言えます。
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親と同居あるいは仕送りしている場合の扶養控除の要件と控除金額
では、これらの条件を考えて
を見ていきます。
分かりやすく考えるために、「親が年金しかもらっていない」という前提で例示します。
扶養対象となる親の条件(1)
仕送りあるいは同居している親(その年の12月31日時点で70歳未満)で、公的年金等の収入金額が108万円以下
扶養控除額:38万円
扶養対象となる親の条件(2)
仕送りしている親(その年の12月31日時点で70歳以上)で、公的年金等の収入金額が158万円以下
扶養控除額:48万円
扶養対象となる親の条件(3)
同居している親(その年の12月31日時点で70歳以上)で、公的年金等の収入金額が158万円以下
扶養控除額:58万円
なお、病気や療養などで病院に1年以上入院している場合、病院が本来の生活拠点とは言いがたいので「同居」として考えます。
ただし、老人ホーム等に入院している場合は「別居」となります。
また繰り返しになりますが、上記の例はあくまでも「公的年金等しかもらっていない場合」のみです。
年金以外に投資やバイトをしていて収入がある場合には、それらも加味した上で扶養控除の要件に該当するかを判断しなくてはなりません。
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「家族を扶養する」というのは、かなり負担がかかります。
子供を扶養するだけでなく、親を扶養する場合も同じこと。
もしかしたら、もっと大変かもしれません。
このような制度をきちんと知って、少しでも負担を減らしていただければ幸いです。(執筆者:鈴木 まゆ子)