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「トランプショック」でトルコリラ急落 デフォルトすれば世界経済への新たな不安要因に

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「トランプショック」でトルコリラ急落 デフォルトすれば世界経済への新たな不安要因に

前回の記事でトルコリラが底入れする確率と、底割れして暴落する確率は五分五分だと書きました。その直後にトランプ大統領による経済制裁が発動されたというニュースが飛び込んできました。

事の発端は、アメリカ人の牧師が捕らえられていることで、これを人権問題と考えたアメリカが、解放のための圧力をトルコに加えたことです。

8/1日に米財務相がトルコの内相と法相を資産凍結などの制裁対象としました。


これに対抗し、エルドアン大統領は4日、米国の2閣僚を制裁対象とすると表明しました。

この間、トルコリラは急落を続けます。対立がエスカレートする中で、さらなる追加制裁を市場が恐れたのですが、トランプ大統領は8/10日に、鉄鋼・アルミニウムの輸入制限を巡り、トルコに対する追加関税の税率を2倍に引き上げる方針を表明しました。

トルコリラが対ドルで急落したことを理由にしていますが、まさにトルコ政府に追い討ちをかけた格好です。

トルコリラはこの日だけで約2割近くも下落しました。

トルコリラ日足


一番最初にトルコリラを特集したときは、8%⇒17.75%への利上げによって一度は底を打った形になっていました。

しかし、なかなかボトムから反発しそうな気配がなく、底割れする可能性も半分は出てきたことをお伝えしました。

その直後に、アメリカ政府によるトルコへの制裁のニュースが入ってきて、事態は急転直下の状況になりました。

底なしの相場~場合によってはデフォルトの危機も

デフォルトの危機も

このようにトルコリラは急落して底なしの状況になっています。しばらくはアメリカとの交渉の行方を見守るしかないでしょう。


しかし、一番深刻なことは、トルコリラの急落を受けてトルコ国債の金利が大幅に上昇していることです。

1年債権から10年債に至るまで軒並み20%を超えています。

かつてEUの金融不安が起きた時に、スペイン国債の金利が7%を超えた時点で危機が叫ばれました。

7%の金利は国の借金が10年で倍になる水準です。

しかし、20%の金利はわずか3年半で借金が倍になるというレベルです。

経常赤字国のトルコでは官民の対外債務残高は国内総生産(GDP)比5割強の4666億ドル(約51兆8千億円)に達します。

今の状況が続くと、かつてのロシアのようにデフォルトの可能性が現実のものになるでしょう。

アメリカの制裁によって、トルコリラが立ち直る可能性は完全に閉ざれた格好になっています。

利上げも後追いの形になるので、まずはトルコ政府の信用回復が望まれています。トルコのデフォルトは世界経済への新たな不安要因になりそうです。(執筆者:岡 隼人)

《岡 隼人》
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岡 隼人

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日経先物・FXのデイトレーダーをしながらライターを行う。ジャンルは株式・FX・投信・仮想通貨・経済一般と幅広い。世界経済の流れは根底でつながっています。NYダウやナスダックはもとより、最近では仮想通貨の上昇・暴落が日経平均に影響を与えることもあります。世界経済の関連を見越した、タイムリーでわかりやすい記事を心がけます。 寄稿者にメッセージを送る

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