夏休みには、子どもを対象にした「マネー教室」を担当させていただくことがあり、保護者の方から「お小遣いのあげ方」や「お金についてどう教えたら良いか」など尋ねられることがあります。
そこで今回はわが家のお小遣い制度や金銭教育について、想い出を振り返りながら紹介させていただこうと思います。
「お金について子どもにどう話すか」の一例として、参考になれば幸いです。
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目次
「ありがとう」でできる金銭教育
お金は感謝のしるし
運転手さんに「ありがとうございました」と言いながらバスを降りると、まだ幼かった娘が私に尋ねました。
お店屋さんごっこでは、店員さんがお客さんに「ありがとう」を言うので、逆ではないのか、と思ったようでした。

と説明すると、
とまだ納得いかない様子の娘に、こう続けました。
そう伝えると、やっと納得したようでした。
買い物をした時は「ありがとう」、飲食店で食事をした時は「ご馳走様」と、感謝の言葉を添えてお金を払うことが、わが家の金銭教育の始まりでした。
仕事は人を喜ばせること
ATMでお金を下ろす時は、「お父さんが働いて、多くの人に感謝してもらっているお陰だね」と
を伝えていました。
あるイベントで、将来の夢について尋ねられた娘が「パン屋さんになって、お金をいっぱい集めたい」と答え、笑いが起きたことがあります。
その場にいた方には、ユニークな子と映ったと思いますが、「お金をたくさん集める」という言葉には「人に喜ばれる」という意味が込められていました。
美味しいパンを作って沢山の人を喜ばせることが娘の夢でした。
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お小遣いのルール
お小遣い制を始めたきっかけ
わが家のお小遣い制は、娘がお友達にお菓子を買ってもらったという出来事をきっかけに、小学校3年生の11月から開始しました。
お小遣いをもらっているお友達も多く、近所の駄菓子屋さんでお菓子を買うことがあるというので、これを機に定額のお小遣制を始めることにしました。
その時に決めたお小遣いのルールは次のような内容でした。
・お小遣い帳をつけ、見せることで次のお小遣いを渡す
・お小遣いで賄うものにノートや筆記用具などの少額の学用消耗品も含める
・お金の貸し借り、おごる・おごられるは禁止
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おごる・おごられるがダメな理由
お友達にお菓子を買ってもらったという話をきいた時、
と伝え、お金を返すように言いました。
すると娘は
と聞いてきました。
「おごられるのはダメ」と分かったものの、お小遣いをもらっていないお友達に自分がおごるのは良いのではないかと思ったようでした。
そして、何かを頼まれたら断りにくいような気持ちにならなかった?」
と尋ねると、娘は「そう言われてみれば」というような表情をして頷きました。
という話をし、
と約束し、わが家のお小遣い制がスタートしました。
「欲しいものが買えない」で学んだこと
お小遣いの前借りは借金と同じ
小遣い制がスタートした月末、ドラッグストアの店頭で犬の形をした可愛い玩具が売られていました。
アウトレットなのか訳アリな商品のようで、元値600円のものが200円で売られていました。
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というので
と答えたところ、お小遣いはもう残っていないとのこと。
幸い、次のお小遣いまで3日程でしたので、その日を待つように伝えると、
とお小遣いの前借りを要求してきました。
前借りを断ると
と泣き出しました。
「自分のお金をちょっと早くもらうだけ」、「どうせ3日経ったらもらえるお金」なのにと、まるで私が意地悪をしているかのように抗ってきましたが、
と私は譲りませんでした。
すると、手に取った玩具をじっと見ていた娘が、私をキッと睨んだかと思ったら、ズンズンと店奥へ進んでいきました。
そして、店員さんに玩具を差し出しました。
とお取り置きをお願いしたのでした。
店員さんは一瞬、驚かれた様子でしたが、「こちらにお名前と電話番号をお願いします」と紙切れとペンを渡してくださいました。
「安易に借金や後払いを利用せず、ある中でやりくりができるようになって欲しい」という思いで根比べをすることになりましたが、子どもは子どもなりに目標達成のためにできる事を考えるものだと感心した出来事でした。
欲しい気持ちは変化する
3日後、娘はお小遣いを握りしめ、ドラッグストアに向かいました。
代金を支払い「ありがとうございました」と言いながら、玩具を受け取ると、お店から出て来て、
と言いました。
あの時買えていたら感じたであろう嬉しさと、3日待ってやっと買えた嬉しさを比べて、娘が感じたことをそう表現してくれました。
だから、少し時間を置いて『本当に欲しいものか』考えるのも良い方法」
というような話をしながら帰りました。
「必要なものが買えない」で学んだこと
未来を予測する力
徐々に小遣い制に慣れて来た春休み。
帰省先でお小遣いを渡すと、お土産コーナーでお小遣いを半分以上使っていたようです。
そして新学期が始まった時
と娘が困って相談してきました。
新学期と言えば、学年が変わるので、ノートを一度に買い替える必要があります。
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と涼しい顔でいい、未来を予測して早めにお金を貯めておくこと、また貯蓄があればいざという時助かることを説明し、ノート代は出してあげることにしました。
と添えて。
そして
子どものうちは困ったら親が助けてあげられるけれど、大人になったらそうはいかない。
自分が困らないようにお金を使おう。
何が必要か、少し先のことも考えるようにしよう。」
と困った経験から学んでもらいました。
翌年の春、5年生になる時は、その時の反省をいかして早めにお小遣いを使い残して、4月に余裕を持たせて迎えることができました。
消費と投資の違い
しかし、その後ノートはお小遣いで買うものから除外することになりました。
理由は、ノートの文字を小さく書くようになったためです。
小さな文字で詰めて書くことで、ノートを節約しようという知恵が働いたようですが、計算間違いをしたり、後で見返すと分かりづらかったり…。
お小遣い制の弊害が出て来たので、お小遣いを100円減らし、学習に使うノートは親が買うことにしました。
そこで、お金の使い方には次の2つがあるという話をしました。
「投資」・・自分が成長するためのお金
お小遣いの使い方でいうと、「消費」はお菓子や玩具やゲームなどで、「投資」は学用品など勉強やスポーツに使うもの。
能力が高められたり、身体が強くなったり、自分の成長につながることは惜しままなくて良い。
成長することで、将来人の役に立ち、多くの人を喜ばせられるようになるのだから。」
というような話をしました。
お金が沢山あったら幸せになれるか
お金で買える幸せと買えない幸せ
ある日、娘に
と尋ねられました。
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でも、物を買ったり、どこかに行ったりしなくても、『楽しい』とか『嬉しい』とか、感じることはない?」
と尋ねてみました。
すると、娘は
と答えました。
と問いかけ、そして
という結論が出たところで、娘は「妹か弟が欲しい」と、私は「人の名前を忘れない薬があったら」などと、ひとしきり「お金で買えない欲しいもの」を言い合いました。
その後
とそんな話をした記憶があります。
お金で買える幸せとお金で買えない幸せがあるけれど、幸せに気づく力があれば、いつでも幸せになれるのかもしれませんね。
稼ぐ力とお金を管理する力は車の両輪
という問いに対して、
稼いでいる以上の買い物をしてしまったり、身近な人と仲良くできなかったり、だからお金があれば幸せとは限らない。」
という話をしました。
大切なことは、
勉強もして、そしてお金の使い方もトレーニングして上手になって行って欲しい。
と伝えました。
成長した娘の金銭管理
そんな娘も今や高校生になりました。
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仕事帰りに最寄駅で合流すると
と手を抜きたがる私に、
とムダ遣いを戒めてくれます。
その一方で、趣味のものにはお金を惜しみなく使って驚かされることがあったり、時には失敗したりすることもあります。
わが家の金銭教育は道半ばですので、わが家のやり方が正しいか否か分かりませんが、お子さんとお金の話をされる時の何かの参考になれば幸いです。(執筆者:小谷 晴美)