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配偶者への過度な「心理的依存」
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熟年離婚となる原因のひとつに、「配偶者への過度な心理的依存」があります。
「夫婦だから」という甘えから、必要以上に配偶者に干渉したことはないでしょうか?
筆者も、まったく身に覚えがないわけではありません。
しかし、それは精神的に自立していない証拠。
深い反省とともに自らの行いを改める必要があります。
今回は「夫婦それぞれの精神的自立」をテーマとし、高齢の親や身近な先輩方の示唆に富むアドバイスをご紹介。
それをもとに、夫婦がお互いに自立して熟年離婚を防ぎ、シニアになっても夫婦円満を保つ方法についてお話しします。
お互いの交友関係に干渉しない
周囲のベテラン夫婦を見る限り、熟年離婚を防ぐ大前提は、お互いの交友関係に干渉しないことだと実感しています。
夫婦といえども相手に干渉されたくない領域が必ずあり、配偶者はその領域に踏み込むべきではありません。
わが夫婦も最近はそのことを心がけています。
その方が、夫婦仲が円満になりやすいことを、長年の結婚生活により痛感しています。
配偶者の交友関係に干渉しない方がよい理由
結婚は育った背景が違う者同士が生活をともにします。
配偶者にうんざりすることも数えきれないほど出てきます。
そんなときは、配偶者となんの関わりもない交友関係でリフレッシュするのが一番。
そうすることで配偶者への怒りやいら立ちも和らぎ、また優しい気持ちで配偶者と向かい合うことができます。
特に、男性同士、あるいは女性同士での交流は大事です、同性だからこそ理解し合える部分があります。
その関係に夫婦のもう片方が必要以上に干渉するのはご法度。
それが原因で夫婦仲に亀裂が入る夫婦も少なくありません。
もちろん、不倫や反社会的なカルト宗教など、大きな問題がある交友関係は別ですが、原則的に配偶者の交友関係に関しては干渉しないのが吉。
それが、夫婦が長続きするコツであるようです。
必ずしも共通の趣味を持つ必要はない
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熟年世代をターゲットとした雑誌などを読んでいると、「夫婦円満のためには共通の趣味を持つと良い」と書かれています。
けれども、筆者自身はその説に懐疑的です。
むしろ、へたに同じ趣味を持ったらかえって熟年離婚まっしぐらになる場合もあると感じています。
筆者はボランティアでシニア世代と話をする機会が多いのですが、そこでよく聞くのが
という話です。
その原因となるのが、夫婦双方、または片方の配偶者への心理的依存。
特に多いのが、妻にわがままを言い、妻のストレスを増幅させる夫の存在です。
そのような状態で「同じ趣味などごめんだわ!」というシニア妻はかなり多いのです。
趣味は「お金の相談」だけすれば良い
同じ趣味を楽しんでいるシニア夫婦の話を聞くと、双方が精神的に自立し、お互いの趣味に干渉していないようです。
という話をしてくれた知り合いもいました。
彼らいわく、シニアになってから夫婦が同じ趣味を楽しむことは、夫婦円満のカギではないとのこと。
むしろ、趣味が違っていてもお互いに干渉しなければOK。
その方が、年を重ねても円満な夫婦関係を保てるようです。
ただし、家計に響くほどお金がかかりすぎる趣味の場合は別です。
あくまでも家計に響かない範囲で楽しめるよう、趣味にかけるお金について夫婦で話し合う必要があるでしょう。
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家の中に夫婦それぞれがひとりになれる空間を作る
熟年離婚を防ぐためにもっとも有効な手段として、「夫婦それぞれがひとりになれる空間を作る」を挙げたいと思います。
高齢になった筆者の親が、今もよく口にしている言葉があります。
「夫婦が1日中一緒にいるようになると息がつまり、夫婦喧嘩になりやすい」
親いわく、退職後夫婦が顔を合わせる時間が長くなると、必ず夫婦げんかが増えるとのこと。
これまでは見えなかったお互いの欠点などが見え、つい文句を言いたくなってしまうからです。
しかし、夫婦の部屋を別々にすれば、お互いの細かい欠点に気づく機会も減ります。
それにより夫婦間のあつれきも起こりにくくなり、程よい距離感を保ちながら仲良く生活できるそうです。
実はそのような親のアドバイスを受け、筆者自身もそれを実行しています。
わが家では夫婦が見事に朝型と夜型に分かれているため、寝室が同室だと配偶者の生活リズムを乱し、それがけんかのもとになっていました。
そこで、わが家では空き部屋を自分の部屋にし、夫婦それぞれの空間を実現。
そのおかげでお互いの生活リズムを乱さずにすみ、なおかつ自分だけの空間で趣味や仕事に没頭できるようになりました。
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夫婦双方の精神的自立が離婚を防ぐ
夫婦といえども別の人格を持った人間。
お互い精神的に自立していないと、配偶者に思わぬ負担をかけ、それが熟年離婚の原因となります。
シニアになってから穏やかな日々をすごしたいなら、夫婦が過度に配偶者に依存せず、それぞれの時間を大切にした方がよさそうです。
それが熟年離婚を防ぐひとつの有効な方法ではあることは間違いないでしょう。(執筆者:大岩 楓)
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