「自動運転」という言葉をよく聞くようになりました。
今では駐車時の自動運転が内蔵されている車も売れていますね。
筆者も「縦列駐車」が苦手なので、この手の車が標準装備されるといいなと思う一人です。
・それにより、単純に自動車事故は減るという解釈になるのか。
・その結果、自動車保険に加入する必要がなくなるのか。
までをお伝えしたいと思います。
目次
自動運転に関するここ最近の動きは?
2016年から国土交通省が「自動運転における損害賠償責任に関する研究会」を立ち上げ、打ち合わせをしてきた報告内容が2018年3月20日に公表されました。
この報告書では、自動運転の自動車事故で、自動車損害賠償保障での保障のあり方が議論され、その詳細がリリースされました。
自動運転にレベルがあるって聞いたけど、どんなものなの?
・レベル1(運転支援):ハンドル操作かアクセル・ブレーキが自動化されているレベル
・レベル2(部分運転自動化):ハンドル操作とアクセルブレーキが自動化されているレベル
・レベル3(条件付き運転自動化):一定の条件下ですべての運転を自動化(システムが要求してきた際に、人は、運転をする必要がある状態)
・レベル4(高度運転自動化):一定の条件下で、すべての運転が自動化されている状態
・レベル5(完全運転自動化):すべての運転が自動化されている状態
このように見てみると、
(2) 無人運転、つまり、AIやクラウド等を駆使して「完全自動運転の世界」を展望し開発
という二手に分かれての研究が進められている状況です。
自動運転化された際の自動車事故は、どのように考えられているの?
今回、国土交通省が発表した報告書の中にもありましたが、事故の内容によって、国の法整備、保険の約款整備が必要であることがわかりました。
また、過去に自動運転の自動車による死亡事故がアメリカであったのも事実なのですね。
ですから、事故がなくなるという整理は現時点でもされておらず、想定される事故の内容によって、話し合いがなされたことがわかります。
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具体的に考えられる自動運転中の事故とは?
人身事故
自動運転の自動車を運転している人を現在の自動車保険上の「※運行供用者」としていいかということも議論がされました。
※運行供用者とは、自賠責保険で使われる言葉ですが、自動車を運転している人、その運転を管理している人、その運転により利益を得ている人等(例:タクシー会社等)を言います。
自動運転で、何かの拍子で自動車が人身事故を起こしてしまった場合、この運行供用者が一定の責任を負うということが、今回の報告書で、明確化されたと言えます。
つまり被害者が救済されるということですね。
自動車の瑕疵があり、自動車メーカーへ責任が移るかは、保険会社が自動車メーカーに求償をしていくなどの整理が今後なされると思われます。
ハッキングによる事故
自動運転のため、この手の新たな事故が想定されます。
ネットと同じように、ハッキングによる事故という観点も考えていかなければなりません。
このような事故の場合は、政府の保障事業が主体的に損害てん補していくべきであることも、この度明らかになりました。
自損事故
自動運転にて、自動車が物にぶつかり、運転者が怪我をした場合などのケースですが、現状の任意保険で皆さんがかけている「人身傷害保険」で補償するべきという結論に達した模様です。
その他
自動運転されている車の運転者の「注意義務」や、外部データからの通信遮断などによる「安全性の確保」などについては、今後も検討が必要ということで、上述発表された報告書の中では明らかにはなりませんでした。
まとめ
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自動運転化の世界はすぐそこにあると思えども、まだ道半ば、かつ、まだまだ議論がなされなければならない面がたくさんあるんですね。
ただ、国も保険会社も両手を取り合って、進んでいく未来への「安心」に向けて、鋭意取り組んでいることは分かったと思います。(執筆者:鮫島 ひかる)