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定年後も働きたい人は約8割!
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先日、埼玉県の彩の国いきがい大学講座で、「シニア起業」についての講演を行いました。
一時期の猛暑と比べれば幾分涼しくなったこともあるでしょうが、それにしても多くの方がお見えになっており、「シニア起業」への関心の高さを実感することになりました。
ちなみに、明治安田生活福祉研究所による「定年後の働き方に関する意識調査」で定年前の50~64歳の正社員6,250人に聞いたところ、「定年後も働きたい」と考えている人は、約8割もいたとのこと!
その「働きたい」と考えている人の中で、昔の部下の下でこき使われるような再雇用や何かとハードルの高い再就職よりも起業という選択肢が注目を浴びているということでしょう。
シニア起業の魅力
確かに、シニアの方が起業する場合、一般(若年)の方が起業するのと比較して、以下のようなメリット(魅力)があるとも言えます。
・これまでに培ってきたスキルを活かせる
・これまでの人脈を活かせる
・じっくり考える(準備する)時間がある
・資金面で考えると、若い人よりも有利
そして、いざ起業した後には、
・やめる時期も自分で決められる
・経費が使える
・好きなことが出来る
・ストレスが溜まりにくい
こんなことをあげると、「シニア起業」は何やらバラ色のような感じもしてきますが・・
シニア起業…マネーの問題を考える
そうは言ってもなかなか起業に踏み切れない現実もあるようです。
その理由として、2017年版中小企業白書「起業準備者が起業できていない理由」によると、「資金調達が出来ていない」というのが第一位になっているのです。
しかしながら、筆者FPとして考えるに、
ということです。
もう少し言えば
ということです。
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もちろん業種・業態によっては、初期投資がそれなりに必要なことは重々承知です。
いずれにしても、シニア起業の場合、基本的に起業までに時間の余裕(準備時間の余裕)があるのですから、
あるいは
というわけです。
退職時3,000万円の金融資産があれば…
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では「どのくらいのお金があれば良いか?」という話ですが、例えば、起業時(定年退職時)に3,000万円あれば、かなり余裕のある事業計画を建てられると思います。
なぜなら、総務省の「家計調査報告平成29年平均速報結果」における「高齢夫婦無職世帯の家計収支」によりますと、一般高齢見職夫婦世帯で、消費支出から実収入を引いた不足分、要は、もし他の収入が無い場合の金融資産取り崩す分が月訳5万5,000円になっています。
よって、
ということになります。
ということは、
となり、平均寿命や余命から考えてもだいたい「老後は大丈夫」といった試算が成り立つからです。
つまり、定年時(起業時)に初期投資さえ抑えられれば、「利益ベースで収支トントンでもいい」という非常に余裕のある計画が建てられるのです。
最初から「必ずいくらの利益が必要だ!」などと自らを追い込んで、ストレスだらけというのでは本末転倒になりかねません。
よって、先述しました、準備時間があるうちに「多額の初期投資を必要しないビジネスモデルを考える」、「それなりに初期投資が必要なら、逆算してじっくり用意する」ということができれば、そんなに切羽詰まった起業にはならないのです。
ちなみに後者の「逆算してじっくり用意する」場合には、今年から始まったつみたてNISAを利用するのも一手かと思います。
つみたてNISAは、マックス年間40万円ですが、20年間積み立てられますので、それなりに資産形成に役立てられるかもしれません。
人生100年時代に!
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いずれにしても、起業の魅力として
と思います。
人生100年時代といわれる昨今です。
生き生きとしたうるおいあるシニアライフを過ごすための「シニア起業」という選択肢。
「お金がないから、資金調達が出来ないから」という理由だけで、後者の魅力を受けられないことがないよう、しっかりと準備できるものはしたいものです。(執筆者:阿部 重利)