病院の個室などに入院した時にかかる差額ベッド代は、通常1日あたり数千円の負担になります。
2~3週間入院すると10万円以上かかることもあり、入院費の支払いの際に金額を聞いてビックリする方もいるのではないでしょうか。
そのため
と、などと病院でトラブルになることもあります。
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こうした状況を受け、厚生労働省は平成30年3月に
(2) 治療上の必要がある
(3) 病棟管理の都合によるもので患者選択ではない
という上記3つの場合には、差額ベッド代を請求することはできないという通知を病院に出しました。
ここからは病院の差額ベッド代の支払いが不要な例について、もう少し詳しく見てみます。
トラブルになる前にしっかりポイントを押さえておきましょう。
目次
差額ベッド代とは?
差額ベッド代とは、「差額室料」のことを示します。
患者の入院生活(療養環境)の向上を図るために、一定条件を満たした「特別療養環境室(特別室)」で、患者が選択して、より快適な環境で病院での療養生活を送れるようにしたものです。
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病院が差額ベッド代を請求できる特別室には以下の4つの条件を満たす必要があります。
・ 面積は一人当たり6.4㎡以上
・ 病床ごとにプライバシーが確保されている
・ 個人ごとに収納・照明・机及び椅子等の設備がある
部屋のタイプにより異なりますが、テレビ・冷蔵庫や、トイレ・浴室・応接セットなどの設備が整っているものもあります。
差額ベッド代はいくら?
平成27年7月の厚生労働省の調査では、差額ベッド代の1日あたりの平均額は、以下の通りです。
地域によっても差はありますが、平均で6,155円、1人部屋の場合は7,828円となっています。
最高は何と1日37万8千円です。
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差額ベッド代は1人部屋の場合、一般的には1日あたり5千円~1万円程度の料金がかかりますが、健康保険の対象外ですので、費用の全額が自己負担になります。
高額療養費の自己負担限度額にも含まれず、治療にかかる費用にプラスして請求されます。
それでも民間の医療保険に加入して、差額ベッド代をカバーする人や大部屋ではうるさいので入りたくないという人、また病院内でウロウロする姿を人には見せたくないという人もいます。
差額ベッド代の支払いが必要ない場合とは?
差額ベッド代を支払う必要があるのは以下の場合です。
・ 同意書にサインをしている場合
差額ベッド代を請求するには、患者の自由な選択と同意が大前提となっています。
反対に、以下のような場合は患者の自由な選択と同意が得られているとは判断できません。
患者側からの同意書による確認を行っていない
書面による同意が必要です。
口頭での同意のみでは請求できません。
患者本人の治療上の必要により個室に入院した
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救急患者などで病状が不安定で安静を要する。
免疫力が低下し感染のリスクが高い。
集中治療の実施、著しい身体的・精神的苦痛を緩和する必要がある末期の患者。
病棟管理の必要性等から個室を利用させた場合であって、患者の選択ではない
感染症の患者で他の患者への感染防止のため、患者の選択でなく個室に入院した。
差額ベッド以外が満床なので個室に入院した。
上記のようなケースについては、原則として差額ベッド代を請求することはできません。
病院から支払いを求められても差額ベッド代を負担する必要はありません。
書面での同意は拒否できる?
では、上記のようなケースで、病院から同意書の記入を求められたらどうすればよいのでしょうか?
病気の治療をする上では入院が必要だし、治療の前から病院と揉めることは誰もが避けたいところです。
ただ望んでいない差額ベッド代を負担したくはありません。
そんな時の相談のポイントは
・ 差額ベッド代の支払いが難しいことをはじめから伝える
・ 同意書には納得できるまでサインしない
この3点を入院の際にしっかりと守りましょう。
そうすると、いったんは個室しか空いていなかったとしても、差額ベッド代について請求されないことや、大部屋が空き次第そちらに変えてもらえることがあります。
どうしても大部屋に空室がなく、入院することができない場合は、別の病院を紹介してもらうのもひとつの方法です。
病院の医療相談窓口や地域医療相談室などで聞いてみましょう。
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まとめ
差額ベッド代を請求する場合は、前提として患者の自由な選択によるもので、書面による同意が必要です。
・ 治療上の必要がある
・ 病棟管理の都合によるもので患者選択ではない
場合は、支払う必要はありません。
トラブルにならないようにするためにも、入院する時点で、大部屋を希望する旨の意思表示を行いましょう。
もしよくわからないまま病院から同意書のサインを求められても、安易にサインをせず、いったん留保して周囲の人に相談するなどしてみましょう。(執筆者:相川 隆)