株式投資をする時、皆さんは何に注目して銘柄を選んでますか?
業種、株価位置、決算内容など、いろいろと分析手法はあります。
ただ共通している目的は、株価上昇への期待ですよね。
今回は、株価上昇という恩恵を受けるために投資する企業の経営者について注目してみます。
グローバル化が進み、外部環境に左右されやすい企業経営を、筋の通った理念・哲学で貫徹するオーナー経営者の企業は、長期的かつ安定的な利益成長が日米ともに実現できているのです。

目次
なぜオーナー企業は強いのか?
上場企業の経営陣が抱える一つの悩みは、3か月毎(四半期毎)に決算発表をし、自身の役員任期中に実績を残す必要性に駆られていることです。
経営のスピードアップに欠かせないこの悩みですが、創業者またはその一族が何代にも渡って経営されているオーナー企業の場合、どうでしょうか?
サラリーマン社長よりも腰を据え、長期的な目線での経営が実現でき、それが安定的な利益成長につながっている企業がたくさんあります。
その特徴を、具体的に見てみましょう。
オーナー企業とは?
ここではオーナー企業を、経営者が実質的に主要な株主である企業と位置付けます。
代表権のある役員自身やその一族、資産管理会社等の持ち株合計が5%以上の企業を指します。
具体的には柳井会長がユニクロを展開するファーストリテイリングや、本社を京都に構える永守会長の日本電産、北海道発で似鳥会長率いるニトリHDは30期以上連続の増収増益企業です。

為替変動や貿易摩擦、異業種からの進出など、外部環境の変化にいち早く対応できる経営、かつ短期目線だけで利益を追求しない姿勢が株価評価に反映される企業。それが真のオーナー企業です。
米国でもオーナー企業の株価は素晴らしい
米国においては、30年以上前から「米国オーナー企業指数(U.S. Wealth Index)」と呼ばれる指数があり、米国S&P500指数と比較しても断トツの成績です。
2008年リーマンショックまでも、S&P500を上回っていましたが、2009年以降の上昇率はS&Pの約2倍に対し5倍に達しています。
代表は自動車のフォードやスーパーのウォルマート、アマゾンやマイクロソフトもオーナー企業ですね。
日本には「創業者株価指数」という呼び名で、米国の投資運用会社HK社が算出している指数があります。
ジャスダック銘柄も含め139の企業で構成され、2012年以降のアベノミクス相場ではTOPIXをはるかに上回る株価上昇を演じています。
オーナー企業への投資手法
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オーナー企業への接点はそれぞれの銘柄を買う直接投資手法か、投資信託を活用する手法で投資が可能です。
投資信託の場合、SBIが運営する「ニッポン創業者株式ファンド」や東京海上の「ジャパン・オーナーズ株式オープン」が対象となります。
東京海上:ジャパン・オーナーズ株式オープン
ジャパン・オーナーズ株式オープンは2013年の設定来、毎年10%以上の成績を残し、今年2018年はTOPIXが年初来マイナスに沈む中、6末までで17.7%の上昇と安定的かつ大幅な好成績を残しています。
景気が悪化し日本株式相場が下落する局面では、割安な株式が買えるチャンスでもあり、経営者の経営方針や哲学を直接インタビューするなどして調査・分析し、運用成果につなげているようです。
さいごに
オーナー企業の中には短期目線では動きが鈍い銘柄もありますが、バイ&ホールドを主体とした長期運用目線では有効な投資手法となります。
ワンマン経営だと批判を浴びることもありますが、理屈を超えた爆発力に期待できるオーナー企業が、いま熱い注目を浴びています。(執筆者:中野 徹)