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支払いできない医療費を請求されることはない

テレビドラマによくあるストーリーです。
そのために借金を負い、一家が不幸になっていく。
現実には、ありえません。
日本の公的医療には「高額療養費制度」というのがあって、個人が支払う自己負担額には上限が決められています。
具体的な上限金額は、個人の年齢と年間所得額によって決まります。
ケースごとに決められた計算式を使って、上限額を算出することになります。
年間所得から考えて、支払うのが難しいほどの金額になることはないのです。
知って安心、「高額療養費制度」
「国民皆保険」および「高額療養費制度」は、他国にあまり例を見ない恵まれた社会保障の仕組みであることは間違いありません。
ただ、家族に高齢者や持病をかかえた人がおらず、全員そろって健康といった場合には案外、「知らない」ということもありえます。
結果、ありえない高額出費に不安をかかえたり、必要以上に民間の医療保険に加入しているといった事例は、比較的よく聞く話です。
高額療養費制度の最新トレンド
医療費をめぐる国の会計は、根拠なきハタン説が今日まで残っている公的年金とは比較にならないほど深刻です。
国全体の人口が減る中、高齢者の絶対数は増え続けますから、深刻度はますます深まるばかりです。
ありがたい「高額療養費制度」も、今後については不透明。
国の方針転換または、その兆しは注意深く見守っておきたいところです。
実際、ここ数年すでに変化は出てきています。
年間所得額が多い人の自己負担の上限は、より高額になっています。
年間所得額が多い人は、もともと普段から月ごとに支払う保険料も高額ですから、ひどい話です。
ただ、実際に病気にならない限り気づくことはありません。
「限度額認定証」も知っておきたい
「高額療養費制度」では、自己負担の上限額が決められているとお伝えしました。
ただし、原則としては、いったん支払いをした後に、支払額と負担限度額の差額を返金してもらうことになっています。
後に返金されるとはいえ、高額の支払いを準備することは、大変な場合も少なくありません。
そんな場合に使えるのが、「限度額認定証」です。
「限度額認定証」があれば、医療機関窓口での支払いは上限限度額までとなります。
それ以上の支払いを求められることはありません。
家計のやりくりも助かりますし、返金の請求手続きも不要です。
「限度額認定証」を入手するには、国民健康保険の場合は市町村窓口へ、協会けんぽの場合は各支部へ申請します。(執筆者:金子 幸嗣)