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損をしやすいのが普通
投資をする目的は、お金を増やすことです。
ですから、できれば損はしたくないものです。
しかし、真剣に投資をしてはいるものの、なかなか思うように利益が出ない人や、損をしている人はよくおられます。
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そもそも、まじめに投資をしているのに、どうして損をしてしまうのでしょうか。
結論から言いますと、投資で損をしてしまうのはその人が特別に変な考え方をしているから、ではありません。
じつは、損をしやすい行動をとってしまうのが「普通」なのです。
投資で利益を上げるルールは、とてもシンプル
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まず、投資で利益を上げるには、どうしたらいいのでしょうか。
答えはとてもシンプルです。
基本的に「安い時に買って、高い時に売る」、これだけです。
例えば、100円の時に買って110円で売れば、10円が利益になります。
(税金・手数料は無視しています。)
このように、大変にシンプルなルールなのですが、賢い大人であっても、ついつい反対のことをして、損を出してしまいます。
なぜなのでしょうか。
人は損をするのが大きらい
じつは、行動経済学などの研究によりますと、人には一般的に「得をするよりも、損をする方が2~3倍イヤだ」という性質があることが分かってきています。
例えばジャンケン勝負で「勝てばリンゴが2個もらえるけど、負けたら1個失う」という勝負を持ちかけられたら、多くの人は勝負を受けると思います。
それは、勝った場合の分が良いからです。
しかし、これがお金になると、損をしたくない気持ちがとても強いので、分の良い勝負でも避けるようになりがちです。
つまり、人は少額でもマイナスになる可能性がある場合、長期で見た場合に利益が望めそうだとしても、冷静に判断することができなくなるのが普通なのです。
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投資で損切りするのは少し不思議?
これが実際の投資になると、どうなるでしょうか。
すなわち、対象の金融商品が値下がりすればするほど「安い時に買って、高い時に売る」というルールを笑顔で実行すれば良いのです。
しかし「損をするのがとてもイヤ」というのがノーマルですので、「買えない」、または「損失が出たところで売ってしまう」という行動を選択してしまいがちです。
いわゆる損切りをしやすくなります。
もちろん投機では予想が外れた場合、損切りは正解です。
ところが、投資では「安い時に買わない」となってしまい、損切りは不正解になりがちです。
判断する時は自分の気持ちを客観的に理解する
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つまり、賢いあなたが損をしやすいのは、人としては普通のことなのです。
とはいえ、損をしてばかりでも困ります。
より合理的に資産運用をされたい方は、何かしらの決断をするときに、自分の気持ちと投資のルールのどちらに沿った行動なのかを考えてみるとより合理的な判断へと近づくでしょう。(執筆者:佐々木 裕平)