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投資は危ないからよしなさいはもう古い?

昨今では、金融庁管轄のつみたてニーサや、厚生労働省管轄の個人型確定拠出型年金(イデコ)などの税制面で優遇されている投資制度が続々と充実してきています。
いわゆる「貯蓄から投資へ」という流れが加速してきている感があります。
ただ、ここで疑問なのが昔の「投資は危ないからやめなさい」は何だったのか、ということです。
どのような経済上の変化があって、いま「貯蓄から投資へ」と言われているのでしょうか。
昔は元本保証でしっかり増えた
まず知っておきたいのが、昔の金利です。
日本銀行の統計によりますと、1991年7月の銀行定期預金(1年)では、金利6.08%となっています。(参考:日本銀行>統計の概要及び公表予定>預金金利)
これはどのような数字かと言いますと、複利運用(増えたお金に対して、さらにお金が増える状態)した場合におよそ12年で元本が2倍になる、という非常に大きな数字です(手数料や税金は無視しています)。
しかも、銀行ですから、倒産などのケースを除いて、基本的に元本保証です。
リスク(値動きの幅)がゼロでリターンだけがもらえます。
このような時代には、リスクがある投資は危ないからやめなさい、といえるかもしれません。
いまは昔の常識が通じない
それでは、現在の金利はどのくらいなのでしょうか。
2018年現在の銀行定期預金(1年)では、金利0.01%が一般的です。
この場合は、複利運用した場合に、何年で元本が2倍になるかと言いますと、計算上は7,200年かかることになります。
これを現実的な数字に置きなおしてみましょう。
20歳の方が毎月2万円を積み立て貯金した場合、昔のように平均金利を高めの5%だと想定すると、60歳時点では3,052万円になっています。
一方、現在のように、平均金利が低めの1%だと想定すると60歳時点で1,179万円です。
どちらの場合も、積み立てた合計金額は同じ960万円です。
しかし、金利が高いか低いかによって、増え方におよそ2,000万円もの差がついてしまったことになります。
およそ30年で、私たちのお金の環境はガラリと変わってしまったと考えることができます。
それと同時に、昔の「投資は危ないからよしなさい」という常識が通用しなくなっています。
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貯蓄から投資へ
このように、元本保証でお金を増やすことが難しい時代になってきています。
そこで考えられるのが、貯蓄から投資へ、です。
例えば、いわゆる先進国株式(21か国およそ1,300社)に分散投資していた場合、1998年~2018年の20年間の平均リターンは5%程度です。
あくまでも過去の平均リターンですが、現在の低金利と比較すると投資の存在感が出てきます。
現段階で、資産形成に不安がある方は、投資について真剣に向き合ってみる必要が、いまの時代だからこそあるかもしれません。(執筆者:佐々木 裕平)