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オトクな3号被保険者

3号被保険者のお話…想定する読者は「既婚の女性」です。
確かに、専業主夫も増えつつありますが、まだまだ少数派。
また、独身の女性も知っておけば、将来、きっと役に立つに違いないお話です。
3号被保険者は、サラリーマンである2号被保険者の配偶者で、国民年金保険料を支払う義務はありません。
ちなみに、この場合、2号である夫が負担しているワケでもないのです。
仮に給料が同額であれば、3号の配偶者がいる・いないで支払う社会保険料が変わることはありません。
3号被保険者は同時に、夫が加入する健康保険制度において「被扶養配偶者」となることができます。
この場合も、保険料負担はナシです。
つまり、3号被保険者というのは、
と言えます。
キャリアウーマンからの批判はごもっとも…
そのためか、「不公平だ」ということで、おもに3号と同性のキャリアウーマンから批判されることが少なくありません。
また、こういうキャリアウーマンに便乗するカタチで、「3号被保険者をなくしてしまえ」という意見の方も増えてきました。

それでも…3号被保険者は無くなりません
彼らの主張にも、十分、理解・納得できるところはあります。
が、「3号被保険者制度」は当面なくなることはありません。
年金制度の「所得代替率」という指標
年金受給額が、その時の現役世代が受け取る平均給与額の何%くらいをカバーできているかを確認する目的で使います。
所得代替率が60%という場合、年金は平均給与額の60%をカバーできていることになります。
所得代替率の計算に使用される年金額は、「モデルケース」の受給額です。
モデルケースの前提は、
妻… 同期間の40年間、ずっと専業主婦で3号被保険者
この夫と妻、2人の合計年金額です。
そう、2人分の年金額です。
なぜ2人分の年金額?

モデルケースの場合、40年間で支払う保険料は夫が負担する分のみです。
妻は「3号被保険者」ですから。
モデルケースを前提にすれば、支払う保険料に対して年金受給額を多額に「見せる」ことが可能です。
年金制度における、費用(保険料)対効果(受取年金額)は「高パフォーマンスだ」、と言ってのけることも可能です。
こんな裏ワザが使える3号被保険者という制度をカンタンに手放すとは思えません。
3号被保険者期間に支給される基礎年金の半分が税金で賄われていることも、制度の継続を下支えしているわけです。(執筆者:金子 幸嗣)