農家の方含め、自営業の方が多く加入する国民健康保険は、それぞれの世帯収入に応じて保険料が決まります。
なので、親と子の世帯が同居する場合は「世帯を一緒にして国民健康保険料を節約する」というのが今までの賢い方法とされていました。
特に農業の場合は、家族経営も多く2、3世代同じ世帯というのはよく聞く話です。
ですが、人生100年時代と言われるようになった現在では、この状況が少し変わってきているようです。
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目次
世帯を一緒にするメリット
先にもお話したように、これまでは同居している場合は、以下の理由から世帯を一緒にする場合が多くありました。
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平等割の節約
住んでいる地域により金額は異なりますが、世帯ごとにおおよそ年間数万円の平等割が発生します。
それを別々の世帯を一つにすることで、それぞれ支払うべきだった保険料を節約する事ができるようになります。
国民健康保険料の上限
国民健康保険料には上限金額が決められているので、世帯ごとに高い収入があり、国民健康保険料もそれぞれ高額支払っている場合には、世帯を一緒にすると大幅に保険料を節約する事ができます。
こうのようなメリットがあり、国民健康保険料を賢く節約されていました。
ただし冒頭で触れたように、近年では農業の世界が変わっているように社会背景も変化し、今はこの方法が合わない所も増えているようです。
世帯を分けるメリット
今は長寿化に伴う介護サービスの普及や介護保険制度の新設により、逆に1つの世帯を2つに分けて住民票に登録する世帯分離の方がメリットがあると注目されています。
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介護サービスの自己負担を軽減
介護サービスの利用料は本人の要介護度によって利用限度額が決まっており、今までは1~2割の負担額だったのが今年の8月より3割となりました。
自己負担の増加する一方で、収入が国民年金のみというように、本人の世帯の所得が低い場合にはこの自己負担の金額を支払うのが厳しい場合があります。
そんな場合にも、所得に応じて自己負担の限度額を決めるという高額介護サービス費制度という仕組みがあります。
これは国民健康保険の高額療養費制度のように、食費や居住費を除く単純な介護サービス費が上限額以上となった場合返還となる制度です。
ですが、この制度は所得の多い人と同じ世帯になっている場合に自己負担が高くなります。
要介護度が低い場合はいいかもしれませんが、高い場合には自己負担も高くなるので負担する差が大きくなってしまいます。
つまり、この場合には世帯を分離することで、ご自身で支払う国保の「保険料」と介護サービスの利用料金の「自己負担額」とのトータルが、世帯を一緒にしていた場合よりも低くなるというメリットとなります。
国民健康保険料が軽減される
世帯が分かれている場合は、それぞれの世帯で国民健康保険料を支払う必要があると先に書きましたが、もし世帯所得が低い場合には、介護保険と同じように減額制度が適用される可能性があります。
まとめ
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それぞれの世帯の収入によって世帯を一緒にした方がいいのか、分けた方がいいのかどちらの方がメリットがあるかは一概に言えません。
しかし、収入状況や親の介護など昔と状況が変わっていても、世帯をそのままにしている方は、支払う保険料等が下がる場合もあります。
ぜひこの機会に一度、お住まいの市町村役場等にご相談されてみてはいかがでしょうか。(執筆者:西田 凌)