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確定申告や年末調整の準備
今年も10月に入り、確定申告や年末調整に向けた、控除関係のはがきが送付される時期になりました。
住宅ローン控除を利用している人は、2年目以降に勤務先に年末残高証明書を提出することで、税額控除が受けられます。
今回は、住宅ローン控除について、押さえておきたいポイントを解説します。
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繰り上げ返済のタイミング
住宅ローン控除は、住宅ローンを借りた年によって控除内容が異なるのですが、現在は控除期間が10年、控除率は1%が基本になっています。
そして、現在の変動金利の最低水準は0.5%程度まで低下しています。
控除率の方が変動金利よりも高くなっているため、繰り上げ返済は「住宅ローン控除」が終わるまで待った方が有利です。
住宅ローンの年末残高が2,000万円あった場合
控除率は1%を掛けた20万円。
支払利息は0.5%を掛けた10万円。
差し引き10万円が、実質的な控除額です。(概算値)
1,000万円を繰り上げ返済した場合
住宅ローンの年末残高は1,000万円に減少しますので、控除率は1%を掛けた10万円。
支払利息は0.5%を掛けた5万円。
実質的な控除額は、5万円に減少します。(概算値)
財務省が、住宅ローン控除を制度化した際、まさか控除率を下回る変動金利水準になるとは想定していなかったため、このような事例が成り立っています。
現在の所、財務省も控除率を引き下げる気配はないので、変動金利の水準が控除率を下回っている人は、住宅ローン控除終了後に繰り上げ返済するようにしましょう。
繰り上げ返済がおすすめな時期
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まとまった資金が手に入ったので、早めに住宅ローン残高を減らしたいという人もいらっしゃるでしょう。
ここで注意したいのは、年末残高証明書は10月に送付されますが、あくまで今年の年末における予想残高です。
仮に、住宅ローンの年末残高証明書の欄が2,000万円であった場合、何もしなければ控除率は1%ですから、20万円が減税されます
11月に1,000万円を繰り上げ返済した場合、実際の年末残高は1,000万円となり、控除率は1%ですから、10万円の減税額です。
繰り上げ返済前の年末残高証明書を勤務先に提出しても、銀行では繰り上げ返済などで予想残高が減った人のチェックを行っているため、後々面倒なことになります。
11月に繰り上げ返済した人は、銀行にきちんと連絡して、繰り上げ返済後の予想残高に基づいた、年末残高証明書を発行してもらう必要があります。
年末残高証明書は今年の年末ですから、来年の1月に繰り上げ返済すれば、住宅ローン控除は満額、年末残高証明書の依頼もする必要がありません。
住宅ローンの繰り上げ返済は、確定申告や年末調整も考慮して行いましょう。(執筆者:1級FP技能士、宅地建物取引士 沼田 順)