保険への加入を考える際、医療保険を検討する方がほとんどではないかと思います。
実際のところ、どれ位の人が医療保険に加入しているのでしょう。
目次
数字でみる医療保険の加入率
生命保険文化センターが3年毎に、「生命保険に関する全国実態調査」を実施しています。
平成30年度の調査によると、生命保険に加入している世帯は全体の88.7%で、さらにその中で医療保険(あるいは医療特約)に加入している世帯は88.5%に及ぶという結果になっています。
やはり、医療保険は必要と判断した世帯が多いですね。
今どきの医療保険は、一度加入したら一生涯保障が続くという頼もしい補償内容。
若くして契約すれば、保険料も一生涯あがりません!
やはり中年に差しかかると、生活習慣病と言われる高血圧、高コレステロール、などの健康リスクがグッと増えて、保険に入りたくても難しくなったりします。
そうなると、ああ、若いうちに医療保険に入っておけばよかった! と後悔する人がたくさんいらっしゃいます。

一方で、ファイナンシャルプランナーの中には、医療保険は必要ない!という説を展開する人もいます。
一体、どういう理由からなのでしょう? その理由をひも解いていきましょう。
医療保険は不必要? その理由は
1. 公的医療制度の充実
会社員であれば社会保険、自営業の方であれば国民保険に国民全員が加入しています。
私たちが支払う医療費は、保険の範囲内であれば実際にかかった総額の3割で済みます。
しかし、入院や手術などがあった場合には、当然ながら保険範囲内の治療で3割負担であっても、大きな金額となります。
そんな場合には、「高額療養費制度」を利用することができます。
年収によって変わるのですが、例えば年収700万円の会社員世帯で、一つの月の中でおよそ9万円を越える部分はこの高額療養費制度で給付を受けることが出来ます。
2. 入院期間の短縮化
政府の医療費抑制政策を背景に、入院期間の短縮化が進んでいます。
医療保険の給付対象となるのは、入院と手術です。
例えば入院日額1万円の保障であれば、20日入院したら20万円の給付が受けられます。
5日の入院であると5万円の給付ですね。入院期間が短くなると、給付を受ける金額が減ってしまいます。
実際に払い込む保険料の総額を考えると、割りに合わないケースがかなり多いでしょう。
例えば、35歳男性が65歳払い済み、入院日額1万円の医療保険に入ったとすると、払込総額は170万円程度になります。
数十万円の貯金があれば、医療保険に加入しなくても公的制度を利用すれば、対応出来そうです。

「先進医療」に備える
それでは、本当に医療保険に入らなくても大丈夫なのでしょうか?
実は医療保険で備えることが出来る保障に、「先進医療」という特約(オプション)があります。
「先進医療」とは、高度な医療技術を用いた治療のうち、まだ公的医療保険の対象にはなっていないものの、安全性や有効性が一定の基準を満たしていると厚生労働大臣に認められたものをいいます。
先進医療を利用する場合は、保険診療に含まれる診察・検査・投薬・入院などにかかる医療費については健康保険が適用される一方、先進医療にかかる技術料等の医療費は全額自己負担になります。
高額なものではがん治療で有名な陽子線治療や重粒子線治療が200万円以上かかるようです。
先進医療と認めれる治療は固定されているのではなく、広く用いられるようになれば健康保険に組み込まれ、また新たに認められた治療法が先進医療に加わることになる、という制度なので、最新の治療を選択できるように、民間の医療保険で準備することが必要だと思います。
まとめ

以上のように、あまり手厚い医療保険の準備は必要ではないものの、今後の公的医療制度の改悪の可能性(利用者にとって)や、先進医療の利用を考えた場合、やはり最低限の医療保険の加入をお勧めします。
先進医療特約の保険料は月額で数百円もしない程度のもので、実際に利用する可能性は低いと思われます。
しかし、それで最新の高額な治療を利用する備えが出来るのですから、保険の面目躍如と言えるのではないでしょうか。(執筆者:夏目 翠)